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離婚時に住宅ローンが残っていたら財産分与できる? オーバーローンの計算方法や名義変更の注意点を解説

2026-03-14
離婚

離婚の時は、住宅ローンが残っている不動産の財産分与が必要です。しかし、夫婦のどちらの名義にするのか?、ローンをどう支払うのか?、銀行とどう交渉するのか?という大きな問題があります。住宅ローンが残る家の財産分与について、基本ルールから具体的な計算方法、トラブルを防ぐための手続きについて解説します。

住宅ローンがある不動産の財産分与 オーバーローンの計算方法や名義変更の注意点を解説

離婚を決意した際、避けて通れないのが「財産分与」の話し合いです。
特に、夫婦で購入したマイホームに住宅ローンが残っている場合、「この家は誰のものになるのか?」「ローンはどう分担するのか?」という点が大きな問題になります。

不動産の名義がどちらであっても、婚姻中に協力して購入した家は、原則として「夫婦の共有財産」です。しかし、ローンの残債が家の価値を上回る「オーバーローン」の状態や、名義変更に伴う銀行との交渉など、実務上は複雑なハードルがいくつも存在します。

この記事では、住宅ローンが残る土地・建物の財産分与について、基本ルールから具体的な計算方法、トラブルを防ぐための手続きまでを分かりやすく解説します。

財産分与とは?

財産分与とは、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産を離婚する際に分け合うことを意味します。
財産分与には、

  • 夫婦が築いた財産を公平に分け合う。
  • 離婚後の夫婦それぞれの生活保障のため。
  • 離婚の原因を作ったことへの損害賠償。

これらの3つの意味があるとされています。

財産分与の対象となる財産とは?

財産分与の対象となる財産は、夫婦の共有財産です。
夫婦の財産には、特有財産と共有財産の2種類があります。

特有財産は夫婦がそれぞれ個別に有している財産です。
例えば次のような財産です。

  • 夫婦がそれぞれ独身時代に築いた財産。
  • 夫婦がそれぞれの親から相続した財産。
  • 夫婦がそれぞれの親から贈与された財産。
  • 服や化粧品など、性質上、夫婦のどちらかの財産と考えられるもの。

こうした特有財産は財産分与の対象になりません。
それ以外の財産は、基本的に共有財産と判断され、財産分与の対象になります。

土地建物は財産分与の対象となるのか?

土地建物も基本的に財産分与の対象になります。
土地建物は多くの場合、夫または妻の単独名義になっていると思います。そのため、名義人の特有財産と勘違いしてしまうこともあるかもしれませんが、結婚後に購入したのであれば、夫婦の共有財産になるのが基本です。

例外は、夫または妻が独身時代に購入したり、それぞれの親から相続や贈与を受けた土地や建物です。
こうした経緯がある土地や建物は、夫または妻の特有財産になります。

夫婦のどちらかのみが働いている場合

夫または妻のどちらかのみが働いており、その収入だけで、土地建物を購入したというケースもあるでしょう。
つまり、妻や夫が専業主婦・主夫だったというケースです。
この場合でも、夫または妻が働き続けられたのは、専業主婦・主夫である妻や夫の支えのおかげと言えるわけです。
そのため、結婚後に購入した土地建物であれば、共有財産と判断され、財産分与の対象になります。

住宅ローンが残っている場合の財産分与

熟年離婚などの場合を除き、土地や建物を所有している夫婦が離婚する際は、住宅ローンが残っているケースが多いです。
この場合、土地や建物が財産分与の対象になるのかが大きな問題となります。

まず、土地や建物の評価額を決めなければなりません。
住宅ローンが残っている土地や建物については、住宅ローンの残額を差し引いた金額が評価額になります。

この際は、アンダーローンとオーバーローンのどちらなのかにより、大きく異なります。

アンダーローンの場合

アンダーローンとは、土地や建物の価格が住宅ローンの残高よりも上回っている場合のことです。
例えば、土地や建物の価格が2000万円で、住宅ローンの残高が1000万円の場合です。
この場合は、2000万円−1000万円=1000万円が土地と建物の評価額になります。
財産分与では、土地や建物の分として、原則として500万円ずつ分け合うことになります。
もしも、夫婦のどちらかが離婚後も住み続けるのであれば、出ていく方に対して500万円を支払う形になります。

オーバーローンの場合

オーバーローンとは、土地や建物の価格が住宅ローンの残高よりも下回っている場合のことです。土地や建物を売ってもローンが残ってしまう状態のことです。

例えば、土地や建物の価格が1800万円で、住宅ローンの残高が2000万円の場合です。
この場合は、1800万円−2000万円=−200万円となります。
マイナスになってしまうため、財産分与することはできません。
そして、夫婦の財産として別に預金が1000万円あったとすると、200万円はローンの返済のために当てられてるので、
1000万円−200万円=800万円のみが財産分与の対象になります。
財産分与では、原則として、400万円ずつ分け合うということです。

住宅ローンが残っている土地建物の財産分与の方法

住宅ローンが残っている土地建物はどのように財産分与したらよいのでしょうか。
財産分与の方法としては3パターンが考えられます。

  • 夫が土地建物を取得する
  • 妻が土地建物を取得する
  • 土地建物を売却する

それぞれ確認しましょう。

夫が土地建物を取得する場合

土地建物は、夫の名義になっていることが多いと思います。この場合は、基本的に不動産名義の変更等の難しい手続きはありません。
まず、不動産の評価額を算定してもらい、アンダーローンとオーバーローンのどちらであるか確認します。

アンダーローンの場合は、土地と建物の評価額のうち、半分に相当する金銭を夫から妻に対して支払います。
残りの共有財産についてもこれとは別に財産分与します。

例えば、土地や建物の価格が2000万円で、住宅ローンの残高が1000万円。
そして、銀行預貯金などの他の共有財産が1000万円あったとします。
土地や建物の分として500万円、他の共有財産の分として500万円。
そのため、夫が土地建物を取得するなら、妻に1000万円を財産分与しなければならないことになります。

オーバーローンの場合は、土地や建物については財産分与しません。
例えば、土地や建物の価格が1800万円で、住宅ローンの残高が2000万円。
そして、銀行預貯金などの他の共有財産が1000万円。
というケースであれば、1000万円−200万円=800万円のみが財産分与の対象となります。
そのため、夫が土地建物を取得するなら、妻に400万円を財産分与しなければならないことになります。

妻が土地建物を取得する場合

土地建物が夫の名義になっている場合において、妻が土地建物を取得する事になった場合です。
アンダーローンとオーバーローンのどちらであるかにより、妻から夫への財産分与の金額が変わる点は同じです。
そして、土地建物の名義をどうするのか、今後の住宅ローンを誰が支払うのかが大きな問題になります。

住宅ローンを組んでいる場合、財産分与したとしても土地建物の所有権登記名義人を夫から妻に変えることはできません。
そのため、妻は、離婚後も夫名義の家に住み続けなければならないのが一般的です。
また、住宅ローンを夫名義で組んでいる場合も、妻名義に借り換えることは難しいことが多いです。
やはり、住宅ローンをその後も夫に支払ってもらう形になります。
そこで懸念されることが、離婚した後で、夫が、土地建物を勝手に売却してしまうことや、住宅ローンの支払いが滞ってしまうことです。

土地建物を売却する場合

夫と妻のどちらも、自宅を離れて、別の場所で暮らす場合は、土地建物を売却することを検討します。
アンダーローンであれば売却益を半分に分ける形で財産分与できます。
一方、オーバーローンの場合は、売却できないこともあります。

ローンを貸している銀行は、その土地建物に抵当権を設定している事が多いですが、その土地建物を売却する場合は、債権者である銀行の承諾を得る必要があります。
ところが、オーバーローンの場合は、銀行の承諾が得られないケースが多いので、まずは銀行との交渉を行う必要があります。

住宅ローンが残っている土地建物の財産分与のポイント

住宅ローンが残っている土地建物の財産分与では注意しなければならないことがいくつかあります。
特に、夫名義の土地建物を妻が取得する場合です。

不動産の登記名義を変更できないことがある

夫名義の土地建物を妻が取得した場合は、所有権登記名義人を妻に変更する必要があります。
しかし、住宅ローンが残っている状態では、夫から妻名義に変更できないことが多いです。
住宅ローン契約には、「金融機関の承諾なく所有権を移転してはならない」という条項が盛り込まれており、銀行が名義変更を承諾しないことが多いためです。
もちろん、無断で名義を変更した場合は、一括返済を求められてしまう可能性があります。

このような場合は、夫名義のまま、妻が住み続けることになりますが、夫が勝手に第三者に売却してしまうリスクが残ります。
こうした不安を解消するための解決策として、「住宅ローン完済を条件とした所有権移転仮登記」を設定しておく方法も考えられます。

住宅ローンの借り換えができないことがある

夫名義の土地建物を妻が取得したものの住宅ローンが夫の名義のままだった場合は、住宅ローンの借り換えを検討することがあるでしょう。
つまり、妻が住宅ローンを借り換えることで、今後は妻が住宅ローンを支払っていこうとするわけです。
そのためには、妻が安定した収入を有していなければなりません。
専業主婦やパート勤務の場合は、住宅ローンの借り換えが難しいことが多いです。

この場合、土地建物の名義は夫のままになりますし、住宅ローンも夫が支払い続けることになります。
しかし、夫が支払い続けてくれるのか不安になることもあると思います。

このような場合は、公正証書を作成し、夫が住宅ローンを支払い続けることを明記しておくのが無難です。
そのうえで、支払いを怠った場合は、強制執行ができるように強制執行認諾条項を盛り込んでおくことが考えられます。

住宅ローンが残っている土地建物の財産分与の話し合いのポイント

住宅ローンが残っている土地建物の財産分与の話し合いはどのように行ったらよいのでしょうか? 具体的な流れを見ていきましょう。

土地建物をどうするか決める

まず、土地建物をどうしたいのかをはっきりさせましょう。
夫と妻のどちらかが住むのか、売却してしまうのかです。それにより以後話し合う際のポイントが違ってきます。

夫が住む場合は、妻に財産分与する金額がいくらになるのか? が問題になります。
妻が住む場合も、夫に財産分与する金額がいくらになるのか? が問題になりますが、多くの場合、不動産の所有権登記名義をどうするのか?、住宅ローンを誰が払い続けるのか? も問題になります。
売却してしまう場合は、オーバーローンになっていないか、売却できるのか? という点が問題になります。

不動産会社に査定を依頼したり、銀行の承諾を得る

財産分与の方法が決まったら、不動産会社に査定を依頼したり、銀行の承諾を得ます。
財産分与の際は、まず、土地建物の市場価値がいくらなのか確定しなければなりません。
そのためには、不動産会社に査定を依頼するのが一般的です。
不動産の所有権登記名義人を変更したり、住宅ローンの借り換えを検討している場合は、金融機関に相談して承諾を得る必要があります。

不動産の財産分与について公正証書を作成したり仮登記を行う

財産分与について取り決めした場合は、公正証書を作成するのが無難です。
特に、不動産を妻が取得する場合は、住宅ローンを夫が支払い続けること、住宅ローン完済後は、夫から妻名義に所有権移転登記を行うことについて、明記しましょう。
更に、強制執行認諾条項を設けておけば、夫が住宅ローンの支払いを怠った場合、直ちに強制執行することができます。

なお、離婚では、財産分与以外にも話し合って決めるべきことがたくさんあります。具体的には次の点です。

  • 慰謝料:不貞行為(浮気・不倫)などの離婚原因がある場合。
  • 年金分割:婚姻期間中の厚生年金部分について分割できます。
  • 親権者:未成年者の子どもがいる場合は、必ず決めなければなりません。
  • 面会交流:未成年者の子どもと非監護親の交流方法について決めます。
  • 養育費:未成年者の子どもがいる場合は必須です。法定養育費制度もあります。
  • 婚姻費用:離婚前に別居していた場合などはその間の婚姻費用を請求できます。

以上の点についても、決めたことは公正証書に書き表しておくのが無難です。

話し合いができない場合は財産分与請求調停を申し立てる

夫婦だけの話し合いでまとまらない場合は、財産分与請求調停を申し立てることも検討しましょう。
調停は、離婚前はもちろんですが、離婚後も申し立てることが可能です。
ただし、調停申し立て期間が、離婚の時から2年以内(今後は5年以内に変更される予定)に制限されていることに注意しましょう。

調停では、裁判官や調停委員が当事者の間に入り、話し合いがまとまるようにアドバイスしてくれます。
調停が成立すれば、調停調書が作成されるので、それに基づいて、その後の手続を進めます。
一方、調停が不成立になった場合には自動的に審判手続が開始されます。裁判官が必要な審理を行って、審判を下す形になります。

まとめ

離婚時の財産分与の対象となる財産に住宅ローンが残っている土地や建物がある場合、どうすべきなのかについて解説しました。
住宅ローンが残っている土地や建物の財産分与の際は、専門的な知識と経験が必要になることもあります。
わからないことがある場合は、早めに離婚問題に詳しい弁護士にご相談ください。

著者

後藤千絵先生
弁護士

後藤ごとう 千絵ちえ

京都府生まれ。滋賀県立膳所高校、大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に総合職として入社。

30歳を過ぎてから法律の道を志し、2006年に旧司法試験に合格。

08年に弁護士登録し、2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所を設立。

離婚や相続など、家族の事案を最も得意とし、近年は「モラハラ」対策にも力を入れている。

著作に「誰も教えてくれなかった離婚しないための結婚の基本」(KADOKAWA)、『職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術』(三笠書房)がある。

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