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離婚調停の期間を長引かせる策のメリットとは? 対策や注意点も解説

離婚調停の期間を長引かせる策のメリットとは? 対策や注意点も解説
2025-07-13
離婚

離婚調停の期間が長引くと夫婦の関係を解消できないのでデメリットの方が多いですが、離婚が成立するまでの間、配偶者に婚姻費用を請求できるといったメリットもあります。離婚調停を長引かせる場合のポイントや、配偶者が離婚調停を長引かせている場合の解決策について解説します。
 

離婚調停を長引かせる策のメリットとデメリットを解説

離婚調停を長引かせる策は、婚姻関係が解消できず、時間と費用を浪費するといったデメリットの方が多いですが、メリットもあります。
特に、婚姻費用を請求できる場合は、あえて、離婚調停を長引かせようとするケースもありますが、注意すべき点がいくつかあります。
また、配偶者が離婚調停を長引かせている場合にどのような対策を取ればよいのかについても解説します。
 

離婚調停を長引かせる策にはメリットがあるのか?

離婚調停は話し合いがまとまらず、なかなか終わらないこともあります。
一般的に離婚調停を申し立てる夫婦は、当事者同士だけで話し合いできなかったり、双方に離婚の条件に関して譲れないところがあるために、協議離婚ができなかったケースがほとんどです。
そして、離婚調停では、家庭裁判所の裁判官や調停委員が間に入るとはいえ、裁判や審判と異なり、夫婦が合意しなければ、成立しません。
協議離婚できなかった夫婦の間で、合意できるまで話し合うのが離婚調停ですから、長引くことも多いです。調停の場でもなかなか、問題が解決しないこともあるのです。
 
では、離婚調停を長引かせようとする策にはメリットがあるのでしょうか?
結論から言うと、離婚調停が長引くと、メリットよりもデメリットの方が大きいことがほとんどです。
離婚調停が長引くということは、それだけ、離婚のために時間や費用が掛かりますし、精神的にも疲弊するからです。
一方で、離婚調停が長引かせることでメリットを得られるケースがあるのも事実です。
 

離婚調停を長引かせる策のメリットとは?

離婚調停を長引かせる策のメリットを紹介していきます。
 

納得できるまで話し合うことができる

しかも、直接相手と話し合えるわけではなく、自分の意見は調停委員に伝える形になりますし、相手の意見も調停委員を介して聞くことになります。
そのため、徹底的に話し合いたいと考えている方には物足りないと感じることもあります。
 
離婚調停を長引かせた場合は、相手と話し合う時間を長く取れるので、離婚条件などで譲れない点について徹底的に話し合うことができます。
離婚の条件は、後で変更することも可能ですが、いったん合意して離婚が成立した後で覆すことは、難しいことも多いものです。
譲れない離婚条件があるなら、安易に合意しないで話し合いを粘り強く続けましょう。
 

証拠収集のための時間を確保できる

離婚の条件の一つである慰謝料は、離婚に関して相手方に責任がある場合に請求できるものです。
特に、配偶者の不貞行為を理由に慰謝料を請求する場合は、配偶者の不貞行為の証拠を示さなければなりません。
不貞行為の証拠収集は、例えば、異性とホテルに出入りしていた現場が1回だけ押さえられたという程度では弱く、繰り返しラブホテルに出入りしていたといった証拠が必要です。
配偶者が離婚調停中も異性と会っている場合は、その証拠を押さえることにより、証拠を固めることができ、不貞行為を理由とする慰謝料を請求できることもあります。
 

親権獲得に有利になることがある

親権を得ることが狙いの場合は、離婚調停を長引かせようとする策が有利になることがあります。
未成年の子どもがいる夫婦が離婚する場合は、共同親権とするのでない限り、父と母のどちらか一方の単独親権となります。
親権に関しては家庭裁判所も深く関与することになりますが、現状、子どもと一緒に暮らしている監護親に獲得させるケースも少なくありません。
離婚調停が長引き、その間夫婦が別居し、子どももその夫婦のどちらか一方と暮らしている場合なら、子どもと一緒に暮らしている側は、子どもを監護、養育している実績を積めるため、親権獲得の面で有利な流れを作ることができます。
 

婚姻費用を得られる

婚姻費用を請求できる側としては、離婚調停が長引けば、その分、経済的なメリットを得られます。
夫婦が別居していても、婚姻関係が続いている場合は、収入の少ない側が収入の多い側に対して日常生活に必要な費用を請求することができます。その請求できる費用のことを婚姻費用と言います。
離婚調停が長引いている場合は、その期間分の婚姻費用も請求できるので、相手からもらえる婚姻費用の総額が増えることになります。
 

離婚調停を長引かせる策のデメリットとは?

離婚調停を長引かせる策のデメリットを紹介していきます。
 

精神的な負担が大きい

離婚調停は、一般的には、家庭裁判所の施設内で行われるものですから、日常的な話し合いと違い、精神的な負担も重いものです。
離婚する時は、ただでさえ、精神的な負担がかかるものですが、離婚調停が長引く場合は、その負担が続くことになります。
状況によっては、心身に不調をきたすほどの大きな負担になってしまうこともあります。
そうした点を考えると、離婚調停はできる限り早期に終わらせるべきと言えます。
 

離婚調停のために時間を取られてしまう

離婚調停は、月に1回程度とはいえ、平日に行われるため、その日は、スケジュールを空けなければなりません。
平日仕事をしている方は、仕事を休まなければならないこともあります。
離婚調停中であることを周囲に知られたくない場合は、仕事を休む理由を説明するのにも一苦労してしまいます。
こうしたことから、離婚調停はできる限り早く終わらせるべきだと言えます。
 

経済的な負担が重くなる

離婚調停には費用もかかります。家庭裁判所に出向く場合は、交通費がかかります。仕事を休む場合は、有給でない限り、その日の収入が無くなります。裁判員と違い、仕事を休んだ日の給与分を裁判所が補填してくれるわけでもありません。
また、弁護士に相談していて、調停に同席してもらっている場合は、その分の費用も負担しなければなりません。
こうした費用が掛かることを考えれば、離婚調停を長引かせようとする策には大きなデメリットがあると言えます。
 

新しいパートナーとの生活を始められない

離婚調停が続いている間は、夫婦の関係が継続しているため、気になる異性がいても気軽に付き合うことはできません。離婚調停中に異性とデートをしたり、性的関係を持ってしまうと、不貞行為を疑われてしまい、慰謝料を請求されてしまう恐れもあります。
離婚調停が長引いている場合は、新しいパートナーとの生活を始められないことを考慮すれば、できる限り、離婚調停を早く終わらせるべきだと言えるでしょう。
 

夫婦間のトラブルが広く知られる可能性がある

離婚調停のために、定期的に時間を作って家庭裁判所に足を運んでいる場合は、周囲に離婚調停を行っていることがバレてしまうこともあります。
職場などで、知られたくない場合は、離婚調停を長引かせようとする策は得策ではありません。
 

裁判離婚でさらに負担が重くなるリスクがある

離婚調停が不成立となった場合は、裁判離婚に踏み切ることができます。
具体的には離婚の訴えを家庭裁判所に提起する形になりますが、訴訟は調停よりもさらに負担が重くなります。
裁判では、本人尋問が行われることもあるのでその問いに応えなければならないのは精神的な負担が重いでしょう。
また、裁判への出席のために時間を取られてしまいます。
さらに、弁護士への依頼が必要なケースが多いことから、経済的な負担も重くなります。
こうしたことを考えると、離婚調停の段階でできるだけ早く話し合いをまとめた方が得策ということができます。
 

離婚調停を長引かせる策は、夫と妻のどちらに有利なのか?

離婚調停を長引かせる策は、夫と妻のどちらに有利なのでしょうか?
結論から言うと一般的な傾向としては、妻が有利になることが多いです。
 

離婚調停を長引かせる策が妻に有利な理由

多くの夫婦は妻よりも夫の方が収入が多いです。
そのため、別居した場合は、妻は夫に対して婚姻費用を請求することができます。
婚姻費用は、離婚が成立するまでは請求し続けることができるので、離婚調停が長引けば、その分、獲得できる婚姻費用の額が増えます。
また、未成年の子どもの監護、養育も妻が担うことが多く、離婚調停が長引けば、子どもの監護、養育の実績を積めるため、親権を得やすくなります。
 
そして、離婚調停は平日に行われるため、仕事を休んで出席しなければなりませんが、一般的な傾向として、男性の方が仕事を休みにくいため、じっくり交渉しづらいという事情があります。
もちろん、弁護士に代理で出席してもらっているケースもありますが、弁護士費用が掛かることを考えれば、事情は変わりません。
そのため、夫側は、財産分与、養育費、慰謝料の支払い、面会交流の取り決めなど様々な離婚の条件に関して、妥協しがちです。
 

妻が離婚調停を長引かせている場合に夫がすべき対応

妻が弁護士に相談したり依頼している場合は、上記のような事情を知ったうえで、離婚を長引かせているケースもあります。
離婚の協議については裁判外で行って、婚姻費用の分担請求調停のみ申立てを行っているようなケースでは、弁護士に入れ知恵されている可能性が高いでしょう。
この場合、離婚が成立するまで、長期間にわたり、婚姻費用を負担させられてしまう状況になります。
こうした事態を避けるためには、夫側は、離婚の条件は妥協しても早期に離婚を成立させた方がよいこともあります。
 
ただ、婚姻費用は必ず負担しなければならないわけではありません。
夫婦の収入差が大きくない場合は、婚姻費用を負担しなくてよいこともあります。
また、妻が不倫している場合などは、妻が有責配偶者となりますが、有責配偶者からの婚姻費用の分担請求は認められないケースもありますし、減額されることもあります。
妻が不倫している可能性がある場合は、その証拠を提示できるようにしておくことが大切です。
 

離婚調停を長引かせる場合に注意すべきこと

離婚調停を長引かせる策には、いくつかのメリットがあるため、あえて長引かせようとすることもあるかもしれません。
その場合に注意すべきことを紹介します。
 

異性との交際に注意する

離婚調停を長引かせる目的の一つとして、相手の不貞行為の証拠を押さえたいというケースがあります。
証拠を積み重ねたいとか、決定的な証拠をつかみたい時は有効なこともありますが、相手方がこちらの不貞行為の証拠を押さえる時間もある点に注意しましょう。
離婚調停中に異性と会う際は、浮気、不倫、不貞といった疑いをかけられないように、注意しましょう。
 

子どもとの関係をしっかり築く

離婚調停を長引かせる策で子どもの監護、養育の実績を積みたい場合は、その時間を利用して子どもとの関係をしっかりと築くことが大切です。
相手方に子どもを奪われたりしないように細心の注意を払いましょう。
状況によっては、相手の親(祖父母)が孫を連れ出してしまうケースもあるため、注意が必要です。
 

離婚調停にかかる費用を把握する

離婚調停が長引くと、様々な費用が掛かります。
交通費だけでなく、弁護士に依頼したり相談している場合はその費用も掛かっています。また、仕事を休んでいる場合は、収入もマイナスになっているケースがあります。
 
一方で、婚姻費用を請求できることもあるので、婚姻費用を長くもらうことが目的で、離婚調停を長引かせようとするケースもあります。
しかし、婚姻費用を得ても、離婚調停にかかる費用の方が多い場合は、トータルではマイナスになってしまいます。
こうした点も考慮し、離婚調停にかかる費用をしっかり把握しておくことが大切です。
 

メンタルケアをしっかり行う

離婚調停が長引くと、有利な状況かどうかに関わらず、精神的なストレスが溜まりがちです。
そのため、ストレスの解消をしっかりと行い、状況によっては、カウンセリングを受けるといった対策も講じるようにしましょう。
 

職場にも説明しておく

離婚調停が長引き、仕事を度々休まなければならない場合は、職場にもその事情を説明しておくことも必要です。
離婚が成立した場合は、社会保険の手続きや苗字の変更などが必要になるため、いずれバレてしまうことが多いです。それなら、早い段階で打ち明けた方が、ストレスにならないでしょう。
 

まとめ

離婚調停を長引かせる策は一般的にはデメリットの方が大きいですが、状況によっては、メリットもあります。
特に、妻が婚姻費用の分担請求ができる場合は、長期間にわたり、受け取れるため、離婚調停を長引かせた方がよいこともあります。あえて、離婚調停を長引かせようとする場合でも、様々な点に注意が必要です。
妻が離婚調停を長引かせている場合、夫としてはできる限り短期間で離婚を成立させられるようにしましょう。
離婚に関して、お困りのことがある場合は、早めに弁護士にご相談ください。

著者

後藤千絵先生
弁護士

後藤ごとう 千絵ちえ

京都府生まれ。滋賀県立膳所高校、大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に総合職として入社。

30歳を過ぎてから法律の道を志し、2006年に旧司法試験に合格。

08年に弁護士登録し、2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所を設立。

離婚や相続など、家族の事案を最も得意とし、近年は「モラハラ」対策にも力を入れている。

著作に「誰も教えてくれなかった離婚しないための結婚の基本」(KADOKAWA)、『職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術』(三笠書房)がある。

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