遺産分割調停をするメリットとデメリット
遺言書がない、あるにはあるが内容に問題があるといった場合、遺産の分け方を巡って相続人同士でトラブルになってしまうことがあります。そんなトラブルの解決に役立つ制度が、遺産分割調停です。ここでは、遺産分割調停をするメリット・デメリットについて解説します。
遺産分割調停とは?
遺産分割でもめてしまったとき、まずは「相続人みんなで話し合いたい」という人も多いのではないでしょうか。しかし、話がこじれてしまい、話し合いだけで解決するのが難しい場合もありますよね。
このようなときに利用されるのが遺産分割調停という仕組みです。遺産分割調停は、調停委員や裁判官に間に入ってもらいながら、話し合いによる紛争の解決を目指すというもの。当事者の希望や意見をヒアリングするのはあくまでも第三者なので、話し合いの最中に当事者同士が直接顔をあまり合わせなくて済むのが特徴です。
もし調停で話がまとまれば調停調書が作成され、その通りに遺産分割が行われます。また、話がまとまらない場合は、調停を取り下げない限り自動的に訴訟に移行します。
遺産分割調停のメリット
遺産分割調停の主なメリットを3つ紹介します。
・最終的な解決を目指せる
普通の話し合いだと永遠に主張が食い違い、話がまとまらないおそれがあります。一方、調停には終わりがありますし、また一度決まった調停の結果を裁判などで覆すことはできません。問題の最終的な解決を目指せます。
・話し合いが円滑に進みやすい
当事者同士が直接話し合いをすると、互いに感情的になってしまうかもしれません。しかし、公正・中立的な立場の第三者を挟めば、冷静に話し合いを進められますよね。こうしたメリットから、遺産分割調停は当事者だけ話し合った場合に比べて話がまとまりやすいといわれています。
・費用が安い
手続きに必要な費用は印紙代1200円のみと、いきなり裁判をするよりも費用を抑えられます。
遺産分割調停のデメリット
一方、遺産分割調停にはデメリットもあります。
・ある程度の時間がかかる
調停は数回に渡って行われます。また、1ヶ月に、場合によってはそれ以上の間隔を空けて開かれるのが一般的です。状況にもよりますが、調停がまとまるまで1年くらいかかることも珍しくありません。
もし調停が成立しなかった場合は裁判となるので、さらに長期化するおそれもあります。
・自分の意見が通るとは限らない
調停では当事者全員の意見を聞きながら話し合いを進めていきます。したがって、必ずしも自分の主張が通るとは限りません。
遺産分割調停の相談は弁護士に
遺産分割調停は話し合いによって相続のトラブルを解決します。しかし、自分だけで交渉を有利に進めるのは難しいと感じる人もいるかもしれません。このとき、弁護士に依頼をしていれば法律の実務家としてのアドバイスももらえ、実際の調停もサポートしてもらえます。「遺産分割でもめるかも」と感じたら、一度弁護士に相談してみましょう。
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