神戸・西宮の相続対策に強い弁護士・法律事務所

  • 0798815965受付時間 平日7:00~夜間
  • 土日夜間も相談対応
  • お問い合わせ

特別受益とは

亡くなった人の財産はいったん相続人全員のものになり、それから遺言書の内容や法定相続などに従って分配されます。
しかし、このとき故人から遺贈や多額の生前贈与を受けた人がいた場合、そのまま遺産分けをしてしまうと、財産をもらった人とそうでない人の間で格差が起きてしまいますよね。
そこで、民法では特別受益という制度を用意し、相続人間の実質的な公平を図ることにしています。

特別受益とは?

特別受益とは、簡単に言ってしまえば、亡くなった人から遺贈や生前贈与を受けた人がいた場合に、その人がもらった財産を相続財産の一部としてカウントするという制度です。

民法第903条1項
共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。

もし、特別受益をもらったと認定された人がいた場合は、持戻し計算を行い、特別受益を本来の相続財産に足したものが「相続財産」となります。そして、本来の相続分から特別受益分を除いた分が、特別受益をもらった人の相続分となります。

事例

父親が亡くなり、「相続財産が預貯金など5000万円、相続人が妻、子供A・Bの3人」というケースを考えてみましょう。
このケースで、「父親が生前、長男である子供Aに住宅の購入費用として1000万円を援助していた」といった事情があった場合、Aのもらった1000万円は「生計の資本として受けた贈与」として特別受益に当たります。
つまり、本来の相続財産5000万円に、特別受益分1000万円を加えた合計6000万円が、このケースにおける「相続財産」です。これを法定相続に従って分ける場合、それぞれの相続分は次のようになります。

・妻
6000万円×1/2=3000万円

・子供A
6000万円×1/2×1/2-1000万円(特別受益)=500万円

・子供B
6000万円×1/2×1/2=1500万円

特別受益を考慮した結果、「Aが財産をもらいすぎる」という事態を回避できたことがわかります。

特別受益に当たるものとは?

特別受益に当たるものは、民法の規定によれば遺贈、および「婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本」として受けた贈与です。
このうち、前者の遺贈はすべて特別受益として扱われます。また、後者の生前贈与については、子供が結婚する際に住宅購入費を援助した、事業を行うための資金や土地を提供した、といったケースが該当します。
一方、普段の生活費や医療費といった日常的な支出は特別受益には当たりません。これは親子や兄弟姉妹間では扶養義務があるので(民法877条)、日常のちょっとした支出は「贈与」とはみなされないためです。
なお、実務上では、相当額の贈与があった場合は、特に事情がない限りは「生計の資本として受けた贈与」として特別受益に当たると判断される傾向があります。
もし特別受益を主張する場合、特別受益の認定などをめぐって相続トラブルが起きやすくなります。特別受益を主張したい、あるいは主張された、といった場合は、弁護士に一度相談してみましょう。

その他のコラム

子どもは未成年。なのに配偶者が亡くなった・・

はじめに 不幸は突然やってきます。 交通事故で突然亡くなってしまうことが世の中にはあります。 子どもが幼いのに […]

詳しく見る

相続放棄を行うデメリットとは

はじめに 当事務所に寄せられたご質問にお答えいたします。   私は50代半ばの女性です。子どもに恵ま […]

詳しく見る

相続問題を弁護士に依頼する3つのメリットとは?

話し合いは、身内で済ませるという方が多い一方、何らかのトラブルが発生する可能性が高い「相続」の問題。たとえそれ […]

詳しく見る

相続放棄後に莫大な財産が判明。放棄の撤回は可能?

相続人となった人は、故人の財産を相続するかどうかを自由に決められます。残された借金が明らかに多いケースなどでは […]

詳しく見る

葬儀代の負担で揉めている。誰が払えばいいの!?

はじめに 人が亡くなると葬儀を行うと思います。 遺産分割が争いなくスムーズに行われている場合には,葬儀代をめぐ […]

詳しく見る

遺留分減殺請求権の時効について

被相続人の兄弟姉妹以外の法定相続人には「遺留分」という遺産の最低保証額が存在します。遺言書などの内容にかかわら […]

詳しく見る

複数の遺言書が見つかった場合の処理

はじめに 当事務所に寄せられたご質問にお答えいたします。   亡くなった父の遺言書が2通見つかりまし […]

詳しく見る

胎児に相続権はありますか?

遺産相続では、遺産を受け継ぐ権利を「相続権」、その権利をもつ人を「相続人」と呼びます。しかし、まだ生まれていな […]

詳しく見る

相続財産管理人はどのようなときに必要?

相続財産管理人という言葉を聞いたことがありますか? 普段あまり聞くことがありませんよね。 その相続財産管理人は […]

詳しく見る

相続人調査(戸籍収集)の必要性

相続にはさまざまな手続きが必要ですが、その中でも特に手間や労力がかかるのが「相続人調査(戸籍収集)」だといえま […]

詳しく見る

早期に全力対応。まずはお気軽にお悩みをお聞かせください。

営業時間 平日・土日祝日7:00~24:00(メールは24時間受付可)