家族信託を弁護士に依頼した方がいい理由
はじめに
当事務所に寄せられたご質問にお答えいたします。
最近、知人から家族信託という制度があることを知りました。いろいろと調べているうちに「弁護士に依頼した方がいい」と書いてあるサイトもあったのですが、家族間の契約なのになぜ弁護士を挟んだ方がいいのでしょうか。
家族信託は自分の財産の使い道を家族に託すもので、制度としては比較的新しく、まだなじみが薄いかもしれません。だからこそ法律に詳しい弁護士に依頼するメリットがあります。
家族信託とは
家族信託は、所有する「委託者」が財産の管理・運用を信頼できる家族の誰かに依頼するものです。認知症などで財産を自分で管理できなくなったときや、障害のある子どものため、親の死後に備えたいときなどに利用されます。
財産の管理を所有者以外の第三者に任せる制度として「成年後見人制度」がありますが、委託者の財産を投資・運用できなかったり、家庭裁判所に対して定期的な報告義務があったりと、制約が多いのが難点でした。
しかし、家族信託は家庭裁判所への報告義務がないだけでなく、受託者が不動産運用や預貯金の管理・処分等を信託目的で自由に行うことができます。他にも、資産の承継が成年後見制度よりもスムーズに行えるなどのメリットも大きく、相続対策として利用する方が増えています。
弁護士に依頼するメリット
家族間の契約でトラブルになる心配がないにもかかわらず、家族信託を弁護士に相談しながら進めた方がいいのには次に挙げる理由があります。
①家族信託について理解を深められる。
先述した通り、家族信託自体がまだ新しい制度で詳しく理解している人が少ないのが現状です。相続に強みを持つ弁護士は、家族制度の概要について十分に熟知しています。ご相談者様から受けた相談内容にしっかりと対応できるので安心して任せられます。
最近では家族信託を紹介する専用の書籍なども販売されていますが、ご相談者様が家族信託について一から調べて全体像を理解するのには限界があるかもしれません。相続に詳しい弁護士に話を聞きながら進めた方が、家族信託についてわからないことを気軽に聞けるので、手続きが終了するまでスムーズに進められるのです。
②契約内容について相談できる
家族信託は、財産の管理・運用の方法を個人で決められる点がメリットですが、契約内容を決めるにあたって、専門的な知識が欠かせません。家族信託の契約内容としては、
①所有者の死後、孫の代まで財産の管理方法を指定する
②所有者が認知症になるまでは本人が管理し、認知症になったときに財産の管理を任せる
③生前から財産の管理を任せる
このうち、いずれか1つを選ぶことになります。弁護士に相談すればご相談者様に合った契約内容についてアドバイスを受けられます。
③相続全般について相談できる
相続に詳しい弁護士は、家族信託に限らず相続全般について幅広い知識があります。遺言書の作成方法や遺産分割など、相続についてわからないことを気軽に相談できる点も弁護士に依頼するメリットの一つでしょう。
まとめ
家族信託は、厳格なルールのもと信託契約が行われるべきです。家族間で話し合った内容を契約書にまとめるだけでは不備があったり、トラブルに発展したりするおそれもあります。相続に強みを持つ弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。