子どもは未成年。なのに配偶者が亡くなった・・
はじめに
不幸は突然やってきます。
交通事故で突然亡くなってしまうことが世の中にはあります。
子どもが幼いのにも関わらず・・・
そのようなことがなければいいのですが,万が一のためにどのように相続されていくのか考えていきましょう。
今回は,夫婦(40代)と子ども1人の3人家族を例に説明していきます。
設定は,
・交通事故で夫が亡くなってしまう
・子どもは10歳
相続人は誰になる?
今回のケースでは,妻と子どもが相続人になります。
夫が遺言書を残しておれば,その内容に沿って相続していくことになります。
ただ,今回は交通事故が原因で亡くなっているので,遺言書を残している可能性は少ないでしょう。
遺言書がなければ・・・
遺言書がなければ,相続人間で遺産分割協議をしていくことになります。
相続人の妻と子どもが遺産分割協議書を交わして,夫の預貯金や不動産の名義変更ができるようになります。
子どもはまだ10歳なので,未成年者です。
未成年者は財産に関わる法律行為を自ら行うことが出来ません。
親権者である妻が法定代理人として手続きをする必要があります。
今回のケースだと,妻が一人で相続の割合を決めることが出来てしまいます。
これは利益相反になります。
利益相反とは
裁判所のホームページに詳しく説明があるので,引用します。
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Q1. 親権者(後見人)と子(被後見人)の利益が相反する行為(利益相反行為)とは,どのような行為のことですか。
- 利益相反行為とは,法律行為自体や外形からみて,親権者(後見人)の利益になるが未成年者(被後見人)にとっては不利益になる行為,又は親権に服する子の一方には利益になるが他方の子にとっては不利益になる行為のことをいいます。具体的には,
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夫が死亡し,妻と未成年者で遺産分割協議をする行為
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複数の未成年者の法定代理人として遺産分割協議をする行為
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親権者の債務の担保のため未成年者の所有する不動産に抵当権を設定する行為
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相続人である母(又は父)が未成年者についてのみ相続放棄の申述をする行為
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同一の親権に服する未成年者の一部の者だけ相続放棄の申述をする行為
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後見人が15歳未満の被後見人と養子縁組する行為
などが該当します。
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(引用:http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_11/index.html)
どうやって遺産分割をしていくのか?
妻が子どもの法定代理人として遺産分割協議が出来ないとなると,どのように相続していけばよいのでしょうか。
子どもに“特別代理人”を選任することで遺産分割協議をしていきます。
特別代理人の選任は子どもの住んでいる場所を管轄とする家庭裁判所に申立てをします。
特別代理人には子どもの祖父母や,叔父,叔母などの親族が選ばれることが多いです。特に親族でなければならない訳ではないので,弁護士に選任を依頼することもよくあります。
まとめ
遺産分割協議書を不備なく作成するのも難しいのに,特別代理人を選任しないといけないとなると,もっと難しく感じるでしょう。
不慮の事故で配偶者を亡くしたとなれば,生活費のために預貯金を早急に引き出す必要があるかもしれません。
時間をかけて遺産分割協議をしても,不備があれば,またやり直しです。
そのようなことがないように,弁護士に相談して,早めに遺産分割を終わらせましょう。