債務整理をしたら離婚にどんな影響がある?慰謝料・養育費と債務整理の関係や子供への影響を解説
結婚生活を続ける中で、借金や返済の問題が夫婦関係に深刻な影響を及ぼすことがあります。そしてその結果、「債務整理」と「離婚」が同時期に検討されるケースもあります。
この記事では、債務整理と離婚がどのように影響し合うのか、慰謝料や養育費にどのような影響があるのかを詳しく解説します。家族や子供への影響、保証人の問題、手続きの順番まで、離婚と債務整理で悩んでいる方に役立つ情報を解説します。
目次
債務整理とは?離婚との関係や影響をわかりやすく解説
債務整理とは、借金の返済が困難になった場合に、合法的な手続きや交渉を行って返済する総支払額を軽減したり免除する方法のことです。代表的な債務整理には以下の3つがあります。
債務整理は借金を整理するための手続き
債務整理とは、借金(債務)を整理するための方法です。計画的に返済できている場合は債務整理をする必要はありません。ですが、返済が難しくなったときや借金が原因で生活ができなくなったときには、債権者と交渉したり、法律的な手続きをしたりして借金問題を解決します。
任意整理
任意整理は、裁判所を通さず、債権者と直接交渉して金利や返済期間を調整する方法です。任意整理は交渉によるもので裁判所の手続きを踏まないため、借金の元本は減りませんが、交渉で行うため柔軟な対応がしやすいのが特徴です。また、官報に記載されないため、家族に知られずに手続きできることもあります。
自分で交渉してはいけないというわけではありませんが、任意整理をする場合は弁護士や司法書士に依頼して交渉するのが一般的です。
個人再生
個人再生は、裁判所の手続きを踏んで借金を大幅に減額し、3〜5年で分割返済する方法です。特例を利用すれば、マイホームなどの財産を維持できるというメリットがありますが、一定の収入が必要です。
また、自己破産のようにすべての借金がなくなるわけではありません。
自己破産
自己破産は例外を除いて、借金をすべて免除してもらう手続きです。これを免責といいます。ただし、不動産や車などの財産は処分され、資格制限のある職業にも影響があります。
また、借金の理由によっては免責不可となるケースもあります。借金ほ0にできるというメリットがある一方で、財産を失うため生活環境が大きく変わることになります。
債務整理が家族に与える影響とは?配偶者・子供への影響を解説
債務整理の時期と離婚について解説します。債務整理が「離婚前」か「離婚後」か、それぞれのケースについて見ていきましょう。
離婚後に債務整理する場合
離婚後に債務整理を行った場合、元配偶者に影響が及ぶ可能性があります。未払いの状態で、その後自己破産をした場合はどうなるのでしょうか。
元配偶者への影響
債務整理を離婚後に行う場合、元配偶者に影響が及ぶ可能性があります。婚姻費用の滞分があるケースでは、滞納している部分は「債権」として扱われます。
婚姻費用は、基本的には免責されない債務となりますが、手続き中は滞納物の支払いがありません。これは、債務整理の手続き中に元配偶者にだけ支払いを続けてしまうと、他の債権者との間で不公平が生じることがあります。「偏頗弁済(へんぱべんさい)」といいます。裁判所が「偏頗弁済」と判断した場合、「免責不許可事由」に該当する可能性もあります。
また、手続き中は滞納分の支払いの請求もできなくなります。
また、養育費を滞納しているケースで個人再生を選択した場合は、滞納していた養育費の支払い方法が、個人再生のルールに沿った方法となります。
子供への影響
債務整理は子供に直接的に影響することはありません。ただし、手続き中に養育費の支払いが滞ることで間接的な影響があるかもしれません。
離婚前に債務整理をする場合
離婚前に債務整理を行うと、配偶者や家庭への影響が大きくなります。
配偶者への影響
債務整理が原因で、配偶者に精神的・経済的負担がかかる場合があります。また、債務整理は民法770条の「法定離婚事由」ではないものの、ギャンブルなどが原因で借金が膨らんだ場合は、配偶者が「婚姻関係の継続が困難」として離婚を申し立てる理由になる可能性があります。
また、自己破産を選択した場合は、自宅や自動車など20万円以上の価値がある財産は処分されるため、自宅や車が自己破産をする人の名義である場合は生活に支障が出る可能性が高くなります。
子供への影響
債務整理によって家計が厳しくなり、子供の生活や学費や習い事に影響が出ることがあります。自宅が自己破産をする人の名義である場合は引っ越しを余儀なくされます。また、親の借金問題は心理的な不安を引き起こすこともあるため、配慮が必要です。
債務整理後も慰謝料や養育費は支払い義務がある?自己破産の免責の範囲を解説
債務整理をすると、自己破産であれば借金の支払い義務がなくなります。これを免責というのですが、免責の対象にならない債務があります。
離婚の慰謝料は免責の対象になるのか
債務整理、特に自己破産をして免責が下りた場合でも、離婚に関する慰謝料の支払い義務は免責されないケースがあります。例えば、経済DVや身体的なDVに対する慰謝料については、自己破産では免責されないケースがほとんどです。一方で、不倫などの損害賠償請求の場合は、自己破産で免責されるケースもあります。
養育費は免責の対象にならない
養育費の支払いについては、自己破産の免責の対象になりません。子供の生活に関わるものであるため、自己破産をしても養育費の支払いは継続して行う必要があります
離婚後に自己破産をしても養育費支払い続ける必要があることを知っておきましょう。
免責されないものは他にもある
自己破産をするとすべての借金の支払義務がなくなると言われることがありますが、前述した養育費や暴力が原因の慰謝料、そして、税金は免責されません。税金に関しては、自己破産をしても個人再生をしてもなくなることはありません。
このように、債務整理をしても支払い義務が続くものを「非免責債権」といいます。
自分の債務の中にどのくらいの非免責債権があるかを確認しておきましょう。
債務整理が離婚に与える具体的な影響とは?不利になるケースも解説
債務整理と離婚を同時に考えている場合に、債務整理が離婚にどのように影響するのでしょうか。想定される影響を解説します。
離婚前に債務整理をしても慰謝料や養育費が減額されるわけではない
離婚前に債務整理をしたとしても、債務整理をしたことを理由に慰謝料や養育費の減額を一方的に要求できるわけではありません。
もちろん、経済状況を理由に交渉することはできますが、債務整理をすれば必ず慰謝料や養育費を減らして貰えるということではないのです。
ただし、離婚後に個人再生をしたケースで養育費の滞納がある場合は、滞納した分の養育費については支払い方法が変わることになります。
債務整理が離婚に不利になる可能性は?
債務整理は必ずしも離婚に不利に働くということはありません。民法では離婚の理由が定められています。これを「法定離婚事由」といいます。
民法770条に規定されている5つの離婚理由は以下の通りです。
・不貞行為
・悪意の遺棄
・3年以上生死不明
・回復の見込みがない精神病
・婚姻を継続しがたい重大な事由
この中に、債務整理は含まれていません。
ただし、債務整理に至った理由がギャンブルや非常識なレベルの浪費などである場合は、婚姻を継続しがたい重大な事由に該当する可能性があります。
離婚と債務整理、どちらを先にすべき?ポイントを解説
離婚と債務整理を同時期に検討している場合、どちらを先にするほうがいいのでしょうか。
債務整理を先にするほうがメリットがある
原則として、離婚と債務整理は別の手続きであるためどちらを優先させても問題はありません。ですが、離婚を特に急いでいるわけではないのであれば、債務整理を先にする方がリスクを減らすことができます。
債務整理で、自己破産や個人再生を検討している場合は、離婚前に債務整理をすることで財産隠しや偽装離婚の疑いをかけられるリスクが減ります。
これは、離婚の財産分与が、債務整理前の財産隠しなのではないかという懸念をもたれる可能性がなくなるためです。仮に、財産隠しをした場合は、「免責不許可」となってしまいます。
ただし、これはあくまでもリスク回避に過ぎないため、緊急性がある場合は先に離婚しても問題ありません。
保証人になっている場合
一方の配偶者が、債務整理を考えている借金の保証人になっているというケースもあります。この場合の離婚をするかどうかに関わらず影響があります。
離婚しても保証人の義務はなくならない
離婚届が受理されると、配偶者との婚姻関係は終了します。つまり、他人になるということです。ですが、婚姻関係と保証人としての責任は別のものですので、離婚をしたあとも保証人としての責任が残る点に注意が必要です。
たとえば、結婚中に夫が借金をする際に、妻が連帯保証人となっていたとしましょう。そして、その後に離婚したとしても、妻の保証人としての義務は継続します。
こうした保証人としての責任は、あくまで債権者と保証人の契約ですので、婚姻関係の有無には関係がありません。つまり、離婚して他人になったからといって、自動的に保証人から外れることはないのです。債務者が債務整理をして返済不能に陥った場合、債権者は保証人に対して借金の残金の支払い請求ができます。そのため、借金の金額が大きい場合などは、保証人も債務整理を検討せざるを得なくなるケースもあります。
借金の保証人から外れるには、債権者の同意を得て保証契約を解除する必要があります。ですが、簡単には認められないのが現実です。そのため、債務整理をする場合は、誰が保証人となっているかを正確に把握して、必要に応じて弁護士へ相談しながら対応することが重要です。
債務整理や離婚問題は弁護士に相談!費用が不安な方は法テラスも
債務整理や離婚問題を抱えていてどれから手をつけたらいいのか解らないという場合は、弁護士に相談するのがベストです。
プロに相談して適切なアドバイスをもらう
債務整理と離婚は、どちらも人生の重大な転機であり、そして、複雑な法律的な問題を多く含んでいます。特に、離婚と債務整理を考えるとき、慰謝料や養育費の取り扱い、財産分与、保証人問題などが絡んで、自分で対処するのが難しくなります。そのような場合には、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが最善の選択肢となります。
弁護士に相談することで、今置かれている状況を客観的に整理し、どのような方法で債務整理を進めるべきか、離婚の時期や条件についてどう対応すべきかといった、個別具体的なアドバイスを受けることができます。また、債務整理の書類作成や裁判所への申し立てなどもすべて依頼できるため負担が軽減されます。
「弁護士費用が払えない」という場合では、無料相談を利用することができます。また、条件はありますが法テラスの利用ができます。一定の収入基準を満たすことで、無料で二回まで法律相談を受けられるほか、弁護士費用の民事法律扶助制度も利用可能です。
間違った判断をしたり放置したりすると事態が複雑化してしまう可能性があります。困ったときは一人で悩まず、専門家に相談しましょう。
まとめ
債務整理と離婚は別の手続きではありますが、慰謝料や養育費、保証人の問題など、債務整理が離婚に与える影響は少なくありません。手続きの順番や内容によって、状況が大きく変わり、家族に大きな影響が出るケースもあるため慎重な判断が求められます。
債務整理も離婚も、法律的な問題が絡んでいるため、自分で判断せずに、早い段階で弁護士に相談し正しい手順で問題を解決していくことが重要です。
