親が離婚することになった時、一番色んな影響を受けてしまうのが子どもです。子どもが離婚関連の家事事件に巻き込まれてしまうことは少なくありません。
子どもが未成年なら特に、離婚に対してどうすればいいのか分からず、精神的な負担も多くなるでしょう。そこで利用したいのが、「子どもの代理手続人」です。
今回は、子どもの代理手続人とはどういったものか特徴を解説しつつ、その役割についてもご紹介していきます。現在離婚問題に発展しており、子どもの負担を少しでも軽減させたいという人はぜひ参考にしてみてください。
子どもの代理手続人とは?
子どもの代理手続人とは、家庭裁判所で行われる調停・審判に「参加したい」という子どもの意見を尊重しながらサポートし、子どもにとって最善の利益を目指すために代わりに手続きなどを進めていく人を指します。
離婚調停などで子どもが参加していない場合、夫と妻だけの言い分がまかり通ってしまい、子どもの意見は無視されてしまう傾向にあります。
例えば妻が「子どもはこう言っている」と言えば、その意見が通ってしまい、本当は子どもがどうしたいのかが裁判所にきちんと伝わらなくなってしまうのです。こうした傾向を招いてしまうと、子どもの人権が無視されることになり、最善の利益を上げられなくなるでしょう。
そこで、重要となってくるのが「子どもの代理手続人」です。
子ども代理手続人は基本的に弁護士から選任されます。
裁判所から選ばれる場合(国選)と、子どもが個人的に弁護士を選ぶ場合(私選)があり、代理手続人に選ばれた弁護士は子どもへ手続きの説明や援助をしていきます。
元々2013年に施行された「家事事件手続法」に導入された制度で、未成年の子どもには認められていなかった手続行為能力を例外的に認めるために制度が設けられました。
認められるケースは以下の通りです。
- ・親権の喪失や停止
- ・管理権喪失の審判
- ・未成年後見人の選任
- ・親権者変更における調停や審判
- ・監護者指定における調停や審判
- ・子どもの引き渡しにおける調停や審判
- ・面会交流における調停や審判 など
養子縁組許可の審判も可能ですが、15歳以上に定められています。
子どもの代理手続人にはどんな役割があるのか?
子どもの代理手続人は子どもへ手続きの説明や援助することでサポートしていきますが、具体的にはどのような役割を果たしているのでしょう?
大きな役割としては、子どもの意見や気持ちを最優先として子どもにとっての利益を最大限にするために動きます。
例えば、子どもにも親には直接話したくない気持ちがあるかもしれません。
そういった親には言えない、子どもの本心を第三者である代理手続人が聞き、その思いを叶えるためにサポートしていくのです。
もし子どもから相談を受けた場合は、その不安を解消してあげるために話を聞いたり質問に答えたりもしていきます。
また、両親や他の関係者とも子どもの代わりに会い、子どもにとって良い解決方法を見つけ、調整も行います。
子どもの代理手続人を利用するメリット・デメリット
子どもの代理手続人を利用するメリットは、何と言っても子どもの利益を最優先に動いてくれるので、子どもの意見が通りやすくなる点です。
子どもがどうしたいのか意見を聞き、それに沿ってサポートしてくれます。
また、親では分からない本音を引き出してくれるのも代理手続人を利用するメリットの1つです。
いくら小さい子どもも親に気を遣い、本音を隠している場合があります。
親は子どもの本音を聞き出そうとしても難しいケースは少なくありません。
そこで、第三者となる子どもの代理手続人を付けることで、子どもが話しやすい状況を作り出すこともできるのです。
ただし、子どもの代理手続人を利用するにはデメリットも存在します。
例えば、家庭裁判所から弁護士が国選される場合、きちんと子どもに寄り添い、話を聞いてあげられる人でないといけません。
児童心理の専門家かつ弁護士でないと難しいですが、現実的に児童心理の専門家でない弁護士が選任されるケースが多く見られます。
また、弁護士も無償では取り組めないので代理手続人になる時は報酬をもらう必要がありますが、誰から報酬が支払われるかといった問題点もあります。
家事事件手続法の中では、代理人を選任する場合に報酬の支払いは子どもの負担になる旨が記載されています。
しかし、子どもでまだ報酬を支払えない場合が多く、報酬は両親が負担することになります。
つまり、報酬を支払えない子どもは両親に負担してもらわなくてはならず、両親が報酬の支払いを拒否してしまえば、子どもは代理手続人を利用したくてもできないのです。
こうした不公平感も制度の問題点として挙がっています。
まとめ
離婚問題で子どもの意見も尊重したいとなった時、子どもの代理手続人の利用は非常に有効です。
子どもに寄り添い、最大限の利益を出せるようサポートしてくれるでしょう。
ただし、メリットが多い反面報酬の支払いなどから利用できない子どもも少なくありません。
現在は日弁連の基金でも報酬援助制度が利用できる場合もあるので、まずは弁護士に相談してみましょう。