夫婦の離婚原因と聞くと性格の不一致や配偶者の浮気や不倫といった理由を思い浮かべる人も多いでしょう。
しかし、配偶者からの家庭内暴力(DV)が原因で離婚するケースも少なくありません。
DVとは、殴る蹴るといった肉体的暴力だけでなく、侮辱や人格否定などの精神的暴力や生活費を渡さないなどの経済的暴力も含まれており、多くの場合は夫から妻に向かって向けられます。
今回はどういった行為がDVに当たるのかご紹介しましょう。
DVとは?
DVとはドメスティックバイオレンスの略称で家庭内暴力と訳されますが、日本の法律では親兄弟は含まず配偶者や内縁、恋人などに相手を限定しています。
配偶者からの暴力とは、身体に対する暴力またはそれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動と定義されています。
つまり、婚姻関係があってもなくても親密な関係にある相手から肉体的・精神的に暴力を受けた場合はDVだと判断可能です。
- 髪を引っ張る
- 刃物で切り付けるなどの肉体的暴力や暴言や無視
- 脅迫などの精神的暴力、配偶者の名義で借金を作る
- 貯金を勝手に使うなどの経済的暴力を奮われた
- 外出を禁止して家族や友人と会わせない
- スマホの履歴をチェックする
これらの行為もDVとなります。
こんなこともDVと認定される
配偶者に原因があるから子どもが授からないなどと吹聴したり、自分が浮気をしているのは配偶者が至らないせいだと認めさせようとしたりすることもDVと認定されます。
また、子どもに直接攻撃させる、子どもの前で配偶者を非難するなどの行為もDVにあたります。
どこからがDVなのか
前述のような行為はDVと認定されますが、どの程度ならDVに該当するのか、明確な基準はありません。
通常であれば、配偶者からの行為が苦痛に感じたらDVと認識できるものですが、繰り返しDVを受けていると「自分が悪い」と思い込んでしまったり、感覚がマヒして正常な判断ができなくなってしまったりする場合もあります。
「あなたの行為は苦痛だからやめてほしい」といった場合に配偶者の行為がエスカレートしたらDVと判断していいでしょう。
モラハラとは?
モラルハラスメントの略称であるモラハラは、倫理的な攻撃や暴力などによる嫌がらせを指し、精神的なDVの一種としてくくられることもあります。
DVと大きく違う点は肉体的な暴力は一切ないところでしょう。
ダメ出しや説教を延々と続ける、大声で怒鳴る、殴るふりや物をぶつけるふりをする、配偶者が大切にしているものを捨てる、壊すといった行為がモラハラに該当します。
モラハラの問題点は、その多くが言動による攻撃だということです。
DVのような目に見える証拠が残らないため、周囲が気づけずに攻撃はどんどんエスカレートしていきます。
日常的にモラハラを受け続けることにより「自分が至らないせいだ」と思い込まされてしまうと第三者へ相談するといった発想自体もできなくなってしまうのです。
こんなこともモラハラにあたる
具合が悪くても家事や育児を休ませず、周囲には配偶者が怠け者で何もしないなどとウソをつくのもモラハラにあたります。
周囲から孤立させるために配偶者の家族や友人の悪口を言う、配偶者の収入を絶つために理由をつけて仕事を辞めさせる、財産を取り上げるなどといった行為もモラハラと認定されます。
DVやモラハラをする人の特徴
それではモラハラをする人の特徴にはどんなことが該当するのでしょうか?
外面が良く周りから評判がいい
普段は穏やかで人当たりが良く、近隣住民からの評判も良かったりします。
自分の立場が悪くならないよう平気でウソをついたり、必要以上に親切にしたりして、周りの人の印象をコントロールする傾向があります。
別れるなら死ぬと脅してくる
配偶者へ対する依存心の高さからDVやモラハラをしてしまう、ということが少なくありません。
暴力に耐えかねた配偶者が離婚を切り出すと態度が急変し、「別れるなら自殺する」「見捨てるのか」などと脅してきます。
配偶者への依存心が高い人は、相手からも同じように依存してほしいと望むものです。
脅すことで自分から離れられなくしておき、さらにDVやモラハラ行為で配偶者の感情をコントロールしようとしてきます。
暴力をふるうと謝ってくる
肉体的な暴力をふるう人の場合、殴った後に急に優しくなったり謝ってきたりすることが多いです。
これも依存心の高さが影響しており、暴力をふるうことと謝ることは本人の中では矛盾していないため、謝ったことが暴力行為の改善につながるわけではありません。
一人で解決するのは難しい
長い間少しずつ肉体的・精神的に傷つけられていると自分が被害に遭っていることすら判断できなくなります。
そのうえDVやモラハラは周りの人が気付きにくく、また、夫婦間の問題となると積極的に介入することも難しいため、表面化した時には深刻な事態に陥っているということも珍しくありません。
真面目で辛抱強い人ほど我慢し、自分で何とかしなければと思いがちですが、DVやモラハラをする人というのは「正当性は自分にある」という考えから配偶者の意見を聞く気がないため、一人で解決するのは困難です。
・DVやモラハラは子どもへも影響する
また、子どもへの影響も懸念されます。
子どもを利用してDVやモラハラをしていた場合はもちろん、子どもに隠れて配偶者を攻撃していたとしても子どもは敏感に察知できるものです。
まだ物事の判断がつかない子どもにDVやモラハラ行為が「世間の常識」と認識されてしまったらその後の人格形成に大きな影響を与えてしまいます。
・第三者へ相談しよう
配偶者の態度や言動が少しでもおかしいと感じたら早めに第三者へ相談しましょう。
家族や友人に何気なく話すだけでも物事を客観的に見ることができます。
定期的に相談をしていれば相手も気にかけてくれますし、アドバイスもしてくれるはずです。
離婚するかしないかはひとまず置いておくとしても、自分が暴力の被害に遭っているという事実を第三者が知っているということだけでも精神的に楽になれます。
まとめ
今回はどういった行為がDVに当たるのかご紹介しました。
DVやモラハラは法定離婚事由として認められている不法行為です。
一度始まった暴力行為はエスカレートする一方なので、早めに相談することが肝要です。
もし、夫婦間の問題を家族や友人には相談しにくいという場合は弁護士に相談するといいでしょう。