不倫が配偶者に発覚して婚姻関係が破綻した時、その両者だけでなく子どもにも影響が及びます。
不倫がなければ両親と生活できたため、子どもも被害を被ったといえるでしょう。
この時、子どもから不倫相手に慰謝料を請求できるのでしょうか?
今回は子どもが不倫相手に慰謝料を請求できるかどうか、ご紹介していきます。
子どもへの慰謝料
不倫などの不貞行為が行われた場合、配偶者からは不倫相手に慰謝料を請求できます。
不倫が原因により両親が離婚をすれば、子どもは両親と暮らせなくなるでしょう。
さらに引越しで転校を余儀なくされたり、経済的な理由から進学を諦めたりするなど、不倫が引き金となって子どもが被る不利益も考えられます。
このようなことから、子どもからも不倫相手に慰謝料が請求できると考える方もいるでしょう。
しかし、子どもからの慰謝料請求は訴訟を起こしても認められない可能性が非常に高いのです。
なぜ子どもからの慰謝料請求は認められないのか?
法律上では「親子」と「夫婦」は別の見解が示されているため、子どもからの慰謝料請求は認められない場合が多いです。
不倫によって配偶者が精神的苦痛などの被害を受け、望まない離婚を選択する場合があります。
離婚の際に子どもの親権は父母のどちらか一方に移り、もう一方は親権を失います。
しかし、両親の関係が仮に壊れても親子の関係は壊れないというのが法律の考え方です。
実際に離婚が成立したとしても、親子間における扶養の義務は発生します。
養育費の負担や面会交流などが行われ、親子としてのつながりは絶たれていません。
そのため、婚姻関係が破綻しても子どもは親からの愛情を受けられるとされているのです。
子どもには法律で「親から愛情を注がれ、監護、教育を受けることできる地位」が与えられています。
これは親に向けられたものであり、第三者である不倫相手とは因果関係がありません。
親子関係が壊されていない、不倫相手はあくまで第三者という2つの理由から、子どもから不倫相手への慰謝料請求が難しくなっているのです。
慰謝料請求ができる場合もある
親子関係が壊されていないという理由から、子どもからは原則不倫相手に対する慰謝料請求は難しいとされています。
しかし、場合によっては子どもから不倫相手に慰謝料を請求できる状況もあります。
例えば不倫した親が子どもに対する養育費を払おうとしたのに不倫相手がそれを妨害したり、家族への面会をさせなかったりした場合です。
不倫相手の行動で親の責任を果たせてもらえず、子どもへの損害は明らかである場合は、子どもから不倫相手への慰謝料請求が認められる可能性があります。
慰謝料を請求する際に子どもが減額理由になる
配偶者が不倫を行い婚姻関係が破壊されたとして慰謝料を請求する際に、場合によっては子どもが減額理由になります。
不倫相手に慰謝料を請求する際に「私と子どもを含めて慰謝料〇万円を請求します」という文面を送った場合、減額となるでしょう。
この文面の場合、被害者+子ども=慰謝料となります。
原則として子どもへの慰謝料は支払われません。
そのため、子ども分の慰謝料を差し引いた額を支払うという不倫相手に減額の材料を与えることとなります。
また、「私に100万円、子どもに100万円の計200万円を慰謝料と請求します」という文面も減額されます。
この場合は配偶者と子どもの慰謝料を具体的に記載しているため、100万円しか入ってきません。
子どもからの請求事例は少ない
実際に不倫の問題が起こり、親が離婚したとしても子どもから不倫相手に慰謝料を請求することは少ないと言われています。
不倫の問題は夫婦の問題と捉えられていること、弁護士などに相談した時に子どもからの請求は否定されることが多いと伝えられること、訴訟で多額の弁護士費用がかかり、認められるか不透明な慰謝料請求をしないというのが主な理由です。
子どもへの配慮が必要
子どもがいる場合には子どもがいることに対する配慮と、子どもへの配慮が必要になります。
・慰謝料の金額
不倫に伴い離婚することになった場合、慰謝料請求は離婚の原因を作った不倫相手と配偶者の両方、または一方に請求できます。
このとき子どもの名前を出さずに配偶者のみ慰謝料が支払われるとしても、被害者側に子どもの親権がある場合、子どもがいるということが慰謝料の増額要因になります。
・不倫の事実
子どもに両親が離婚した事実を話すべきか否かは誰でも迷うでしょう。
子どもの心を傷付けることや、精神面の成熟度によっては受け取り方も違ってきます。
最終的には親権を持った親に委ねられるのですが、親の気持ちだけでなく子どもの気持ちを考え、慎重に判断を下しましょう。
子どもから不倫相手に慰謝料請求ができるか、子どもがいることで及ぼす要因を踏まえてご紹介してきました。
例え将来的な不利益になったとしても、原則として慰謝料請求が認められないのが日本の法律です。
ただし、不倫相手から子どもが明らかに損害を被った時は請求できるので、弁護士に相談してみてください。