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親権が取れなければ子どもとは会えませんか

2020-06-08
離婚

離婚にあたって問題となる「親権」

子どもがいる夫婦が離婚をするにあたっては、子どもの親権をどうするかが問題となります。離婚届には、子どもの親権者を記載する欄があることからも分かりますが、離婚するにあたっては、必ず親権者を父母のどちらかに決めなければなりません。
 

親権とは

親権とは、未成年の子を監護・養育し、その子どもの財産を管理し、子を代理して法律行為をする権利・義務のことです。子の父母は、婚姻中には共同して親権を行使します。離婚をすると、どちらか一方のみが親権者となります。(ただし、親権のうち、監護権と財産管理権を父母がそれぞれ有することも、法律上可能ではあります。)
 

親権はどのように決まるか

親権者の決定は、子どもの利益及び福祉を基準として決定されなければなりません。一般的にいえば、父母の諸事象を比較考慮して、総合的に判断することになります。
総合考慮の要素について、父母側の事情として、監護能力(年齢・性格・教養・健康状態)、精神的・経済的家庭環境(資産・収入・職業・住居・生活態度)、居住環境、教育環境、子に対する愛情の度合、従来の監護状況が問題となります。子ども側の事情として、年齢、性別、心身の発育状況、環境への適応状況、環境の変化への適応性、子どもの意思、父母及び親族との情緒的な結びつきなどが問題となります。
 

面会交流とは

上記のように、離婚をするにあたっては、父母のいずれかを親権者とすることとなりますが、親権者と、子どもとの関係は、どうなるのでしょうか。
一般的には、親権者=監護権者ですから、親権者とならなかった親と、子どもは別々に暮らすこととなります。
しかし、親権者とならなかった方の親=別居親には、子どもと会う権利があります。これを、面会交流権といいます。
 

面会交流の内容はどのように決まる?

面会交流の具体的な内容や方法については、まずは父母が話し合って決めることになりますが、話合いがまとまらない場合や話合いができない場合には、家庭裁判所に調停又は審判の申立てをして、面会交流に関する取り決めを求めることができます。
面会交流について、取り決める内容は様々ですが、一般的には、頻度や時間、連絡方法等を決めておくことになります。
 

面会交流条件を守ってもらえなかったら?

面会交流の条件をせっかく取り決めたにもかかわらず、取り決めどおりにそれを履行してもらえないことがあります。
そのような場合、家庭裁判所を通じて面会交流条件を取り決めている場合には、家庭裁判所から、履行勧告をしてもらうことが可能です。
ただし、履行勧告にはこれに従わなかった場合の制裁は、とくにないので相手が従わないということも考えられます。
その場合には、「間接強制」という手段をとることが考えられます。
間接強制とは、金銭の支払いを命じるなどの一定の不利益を課すことにより心理的に圧迫し、義務の履行を強制する方法です。
ただし、どのような場合にでも間接強制ができるというわけではなく、面会交流の取り決め方によって、できる場合とそうでない場合があります。
 

著者

後藤千絵先生
弁護士

後藤ごとう 千絵ちえ

京都府生まれ。滋賀県立膳所高校、大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に総合職として入社。

30歳を過ぎてから法律の道を志し、2006年に旧司法試験に合格。

08年に弁護士登録し、2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所を設立。

離婚や相続など、家族の事案を最も得意とし、近年は「モラハラ」対策にも力を入れている。

著作に「誰も教えてくれなかった離婚しないための結婚の基本」(KADOKAWA)、『職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術』(三笠書房)がある。

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