離婚後に発生しうる問題
離婚にあたっては、さまざまな離婚条件をあらかじめよく協議して取り決めておくことが通常です。しかし、それをしっかりと取り決めなかった、あるいは、取り決めをしたにもかかわらず、それを破られるなどの原因により、離婚後にトラブルが生じることがあります。
そこで、離婚後に生じうる問題と、その対処法を解説します。
親権
子どもがいる夫婦の離婚にあたっては、必ず親権者を決めなければなりません。
しかし、離婚時に親権者となった者による、離婚後の子どもの監護状況が不適切であることが発覚した場合、非親権者としては、親権を取り戻したいところです。
その場合、家庭裁判所に対して、親権者変更の申立てをするという手段があります。
ただし、一度決めた親権者を変更することは極めて難しいので、離婚時の親権については慎重に決めるべきです。親権者変更の申立てをするにあたっては、親権者を変更すべき事情があるということを客観的に立証できなければなりません。
財産分与
財産分与については、離婚時までに取り決めておくことが一般的ですが、離婚後に取り決めることも可能です。
財産分与に関連してよくあるトラブルが、持ち家に関するトラブルです。
たとえば、財産分与の結果、夫婦の持ち家は夫の単独所有となったが、その家に妻が一定期間、夫側に住宅ローンを負担してもらって住むということがあり得ます。
しかし、その後元夫側が住宅ローンの支払いを止めてしまった場合には、妻としては、その家に住み続けることができなくなり、被った不利益の賠償を元夫側に求めるということが考えられます。
また、元妻側が、決められた期間までに持ち家を明け渡さないなどのトラブルも見受けられます。その場合、元夫側としては、債務名義がある場合には、明渡しの強制執行をしたり、債務名義がない場合には、建物明渡訴訟を提起したりするなどの対処が考えられます。
慰謝料
慰謝料についても、離婚後に問題になることがあります。
たとえば、婚姻期間中の不貞が、離婚後に発覚することがあります。
その場合でも、要件を満たせば慰謝料の請求は可能です。ただし、離婚するにあたって、「今後互いになんらの金銭的請求をしない」という趣旨の約束をしている場合には、請求が困難となることがあります。
また、離婚後に不貞が発覚した場合、「不貞によって、離婚に至った」とは言い難いことがあるので、不貞によって離婚に至った場合と比較して、慰謝料が低くなる傾向にあります。
面会交流
面会交流も、離婚後にトラブルが生じることが多い事項です。具体的には、離婚時に取り決めた面会交流についての約束が守られないという事態です。
さらに具体的にいうと、たとえば子どもと月1回会えると取り決めたのに、まったく合わせてくれないなどの事態が想定されます。
このような場合、子どもに会いたい親としては、家庭裁判所に対して面会交流の調停の申し立てをすることになります。
離婚時にすでに家庭裁判所で面会交流の条件を取り決めている場合には、間接強制(面会交流条件を守らないことに対しての、金銭的な制裁)を検討することとなります。