離婚を考えていても、なかなか切り出せず結婚生活を続けている方は少なくありません。相手が離婚を拒んでいたら、離婚を前提に話し合いを進めて同意を得る必要があります。同意が得られず、調停離婚となるとさらに時間がかかります。離婚するまでのこうした労力を考えると、やはり離婚に踏み切れなくなるのです。
夫婦関係が破綻していない限り、すぐに離婚に同意してもらえる可能性は極めて低いといえます。相手が離婚に同意してもらえるような話し合いをするためには、離婚を切り出す前にある程度の準備が必要です。ここでは、離婚を切り出す前から準備しておくべきことをご紹介します。
1.離婚理由を明確にする
離婚するには夫婦の合意が必要で、一方の合意が得られなければ離婚できません。そこで、相手を説得できる明確な離婚理由を伝えることが大切です。離婚に反対する相手は「これからは気をつける」「やり直したい」などと説得を始める可能性が高いためです。
特に専業主婦やパートなどで離婚後の生活に不安がある方の場合「生活費はどうするんだ」「子どもを育てられないんじゃないか」と、妻にとっては耳の痛い反論をされるはずです。そうした説得にも反論できる材料を用意しておかなければいけません。
2.お金について調べておく
離婚の際、お金の問題が最も大きな壁と言っても過言ではありません。離婚を切り出す前からある程度のお金の準備が必要です。
共有財産を把握する
結婚している間に築いた「共有財産」を離婚の際に分割します。これを財産分与といい、婚姻期間中に形成された財産なら、たとえ名義が自分のものでなくても共有財産にあたり、財産分与の対象となります。
そこで、離婚を切り出す前の段階で共有財産を確認し、証拠となる書類などのコピーを取っておくことをおすすめします。主な共有財産として、次のようなものがあります。
預貯金額がわかる通帳
離婚を切り出した後だと、通帳を見せてくれなかったり預貯金を先に引き出されたりして、本来もらえるはずの財産よりも少ない金額で分割されてしまう恐れがあるためです。家族全員分の通帳をチェックしましょう。
源泉徴収票や確定申告の書類
正確な収入を把握できます。最新のものをコピーしておきましょう。
不動産の契約書、権利書、登記事項証明書
これらの書類は不動産を売却する際に必要となります。
保険証書
積立型保険の場合、返戻金が財産分与の対象となるので、コピーを取っておきましょう。
借用書
借入金、ローンなどの借金も財産分与の対象となるので、金融機関から送られてくる明細を確認してください。
不法行為があった場合、慰謝料を請求する
浮気やDVなどを理由に離婚する場合、慰謝料を請求できます。例えば浮気の場合、浮気相手とホテルに出入りしているところの写真が有力な証拠となります。DVの場合は、実際に負傷したときの写真や医師による診断書を用意します。
離婚を切り出す前にかかるお金を準備
離婚後にかかるお金の用意も当然必要ですが、離婚するまでにかかるお金があります。
- 別居する際の引っ越し費用、敷金礼金、家具家電の購入費用等
- 浮気の証拠を確保するため興信所に調査を依頼する場合の調査費用
- 弁護士に依頼する場合は弁護士費用
3.離婚後の生計維持
離婚した後の生活を想定しておきます。
住居を探す
実家に戻る場合を除き、離婚や別居をする場合は新たな住まいを探します。お子さんの転校や転園をさせたくない場合は、通学・通園できる圏内で物件を探しましょう。
仕事をさがす
離婚後の生計を維持するため、まとまった収入が得られる仕事をみつけておきます。ただ、ブランクのある人や、就業経験がない人にとって、いきなりフルタイムの仕事を始めるのはハードルが高いかもしれません。その場合、パートや契約社員などの仕事から始めて、正社員の登用を目指す方法もあります。
4.離婚を切り出す前には入念な準備を
離婚の準備だけでも相当な労力がかかるほか、離婚を切り出す前の段階でも用意周到な準備をしなければなりません。
当然のことですが離婚するとご自身だけでなく、配偶者にも離婚歴ができます。これは相手の人生を巻き込んだ大きな決断であることを忘れてはなりません。親権者にならなければ子どもと暮らせなくなり寂しい思いをさせてしまうかもしれないし、離婚歴がついたことで再婚が難しくなるケースも考えられます。
このように、周りからの目線や自身の生活への影響が大きいために、離婚を切り出された側からその場で同意を得ることは極めて難しいと言えます。離婚を切り出されて気が動転している相手が、納得できるような「理論武装」をして、下準備をすすめていきましょう。