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民法改正で養育費の支払いに影響は出ますか

2020-03-12
離婚

養育費は、離婚した夫婦の子どもが親から支払いを受けられる権利です。たとえ離婚していても離れて暮らす親には支払い義務があります。

ところが、厚生労働省が発表した「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」によると、母子世帯の約8割が養育費を受け取っていないことがわかりました。未払い養育費を請求しても、口座情報がわからなくて強制執行ができないケースもあり、多くの母子世帯が養育費の支払いを受けられていない状態にあります。

この状況を打開できるような法改正が行われました。2020年4月から民事執行法が改正され、養育費の取り立てがしやすくなります。ここでは、民事執行法の改正された内容と、養育費の請求手続きについて詳しくご紹介します。
 

これまでの養育費の取り立ては困難だった

民事執行法改正前は、養育費を払ってもらうためには、財産を差し押さえるために金融機関名と支店名が必要でした。それがわからなければ勤務先近くの支店などを当てずっぽうで選び強制執行を試みることもありますが、結局銀行口座の差し押さえに失敗し、未払いが解決できないことがありました。未払いの債務者からすればまさに「逃げ得」で、支払いを受けられない債権者と子どもが泣き寝入りしているのです。

改正後は金融機関に銀行口座の照会をしてもらえるようになるため相手の財産を確実におさえられるようになるので、銀行口座の特定に労力をかける必要はなくなります。
 

「第三者からの情報取得手続き」が新設

「第三者からの情報取得手続き」といい、支払い義務者の給与を差し押さえるために必要な情報(勤務先、預貯金、不動産など)を裁判所や年金事務所に照会してもらえる制度が新設されました。

具体的には、裁判所は金融機関の本店に対し、相手の銀行口座の支店名を照会するよう命じ、金融機関から情報提供を受けます。

また、厚生年金の納付を受けている年金事務所や住民税の納付先である市区町村に照会を依頼すれば、相手の勤務先を特定できます。これにより義務者が転職しても勤務先がわかり、強制執行しやすくなります。
 

「財産開示手続き」に応じなければ前科がつく

「財産開示手続き」とは、養育費を強制執行する前に裁判所に対して「養育費未払いの相手の財産を差し押さえたい」と申告することです。民事執行法改正前は申告するにあたって、調停調書、審判書、判決書が必要でしたが、改正後は公正証書さえあれば手続きが可能になります。

流れとしては、債権者からの申告を受けた裁判所が、債務者に対して出頭を命じます。そして債務者はどれくらいの財産があるのかを報告しなければなりません。

なお、財産開示手続きに応じず、裁判所に出頭しなかったり虚偽の申告をしたりした場合、これまでは「30万円以下の過料」という罰則でしたが、法改正後は「6ヶ月以上の懲役または50万円以下の罰金」という前科がつくようになりました。
 

公正証書で養育費について取り決めること

上記でご紹介した一連の手続きは、公正証書に「養育費未払いの際に強制執行ができる」旨の内容を記載がなければ実行できません。そのため、公正証書の有無が未払い養育費を回収するうえで大変重要になります。

離婚を急ぐあまり、「養育費も何もいらないから早く離婚してほしい」といって、養育費の支払いの約束をしないまま離婚する夫婦は珍しくありません。しかし、冒頭でも述べた通り、養育費は子どもが親に支払ってもらう権利であり、親の都合で子どもの権利を奪うことがあってはなりません。子どもの人生に関することですから、養育費の取り決めを交わしてから離婚するべきですし、支払いがストップしたらためらわずに支払いを申し立てましょう。

著者

後藤千絵先生
弁護士

後藤ごとう 千絵ちえ

京都府生まれ。滋賀県立膳所高校、大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に総合職として入社。

30歳を過ぎてから法律の道を志し、2006年に旧司法試験に合格。

08年に弁護士登録し、2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所を設立。

離婚や相続など、家族の事案を最も得意とし、近年は「モラハラ」対策にも力を入れている。

著作に「誰も教えてくれなかった離婚しないための結婚の基本」(KADOKAWA)、『職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術』(三笠書房)がある。

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