結婚相手と別れて、好きな人と再婚したい場合、配偶者に支払う慰謝料は増額しなければならないのでしょうか?
厚生労働省が発表した「人口動態調査」によると、2017年に離婚してから1年未満に再婚する人は男性で15.3%、女性で13%と、10年以上経過後に再婚する人の次に多いことがわかっています(https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003214850)。離婚後、比較的早期に再婚して新たなスタートを切りたいと考えている方が多いのかもしれません。
好きな人と結婚を前提に交際するため、または不倫相手と再婚するためというように、再婚を前提とした離婚の場合、配偶者に支払う慰謝料は、再婚しない場合よりも多く払うべきなのでしょうか。
再婚相手と不倫が発覚していれば当然慰謝料も増える
再婚を予定している相手と不倫関係にあり、離婚後にその不倫相手と再婚するというケースです。配偶者に不倫の事実がバレていて、離婚後にその相手と再婚予定という場合は、慰謝料が発生します。
再婚自体は、慰謝料が増額する要因になる可能性はほとんどありません。慰謝料が発生するかどうかは、再婚相手と婚姻期間中に不倫関係にあったかどうかに重点が置かれるからです。
一般的に不倫で離婚する場合の慰謝料は100~300万円程度が相場です。ただ、浮気相手が妊娠したり、すでに再婚予定であることを配偶者が知っていたりする場合、精神的苦痛がより大きいものとして、相場よりも高額な慰謝料を請求される可能性があります。
再婚が慰謝料額に影響しないためには
言い換えれば、不倫していたことを配偶者に知られていなければ、不倫の慰謝料を支払わずに離婚できるということです。繰り返しになりますが、不倫の事実がバレていないことが大前提です。
また、他に好きな人ができてその人と結婚を前提につきあいたいという場合も、不倫していなければ慰謝料を支払う義務はありません。
ただ、離婚を切り出された配偶者にとっては、はっきりとした離婚理由がないので「考え直してくれないか」「やり直せないか」と反対され、離婚するまでに時間がかかるかもしれません。もしくは「本当は浮気でもしているんじゃないか」と疑って興信所に調査を依頼する可能性もあります。
そのため、不倫の事実があって不倫相手と再婚する場合は、相応の慰謝料を支払い、相手に離婚を切り出すべきでしょう。不倫をしていないなら身の潔白を主張して、手切れ金を払うなどして相手に納得してもらう方法もあります。
なお、離婚の慰謝料を請求できるのは離婚した日から3年間です。この期間内なら、婚姻期間中に浮気していたことを知った元配偶者から慰謝料を請求される可能性は十分にあります。慰謝料を増額させたくない場合は、時効までに再婚の事実を知られないようにするか、離婚の際に「今後慰謝料の請求はしない」などの取り決めをすることをおすすめします。