結婚後に配偶者が同性愛者であることが発覚した場合、それを理由として離婚することはできるのでしょうか。
以下、詳しく見ていくことにしましょう。
同性愛だけでは離婚原因にならない
結論からいうと、結婚後に相手が同性愛者であることを知った場合、それだけを原因に離婚するのは難しいといえます。同性愛を差別することになりかねないからです。
ただ、配偶者が同性の恋人と浮気をしている場合はどうでしょうか。異性の浮気相手がいた場合と同じく、夫(妻)としては「許せない」と感じ、結婚生活を続けられないと感じるかもしれません。
裁判で離婚が認められるための法定離婚原因として、不貞行為があります。これは、いわゆる配偶者が不倫や浮気をした場合には、離婚が認められるものです。
もし不貞行為があった場合、相手が離婚に同意しなくても、裁判所の判決があれば離婚できます。
したがって、配偶者が異性の恋人と浮気をした場合は、当然「不貞行為」にあたるとして離婚が認められます。さらに、配偶者本人やその浮気相手に対して慰謝料を請求することも可能です。
しかし、不貞行為は現状「配偶者以外の異性と肉体関係を持つこと」を指すため、配偶者が同性の恋人と肉体関係を持ったとしても不貞行為にはあたりません。
つまり、浮気行為があったとしても、不貞行為を理由として離婚を求めることはできないということになります。
配偶者の同性愛が原因で離婚できる場合
配偶者が同性と浮気していても、不貞行為を理由として離婚は認められません。ただ、場合によっては、他の理由で離婚ができる場合があります。
配偶者が離婚に同意してくれない場合
当事者の事情によっては、不貞行為以外の離婚事由に該当する、として、裁判での離婚が認められる場合があります。
たとえば、配偶者の同性愛が原因で長年セックスレスになっている、同性との浮気で精神的ダメージを受けたといった事情があった場合は、法定離婚事由のうち「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。
また、配偶者が家出をして浮気相手と同棲しているような行為は「悪意の遺棄」として、これも法定離婚事由に該当します。
こういった事情があった場合は、たとえ配偶者の同意がなかったとしても、裁判で離婚が認められる可能性があるのです。
配偶者が離婚に同意してくれそうな場合
配偶者が離婚に同意してくれそうな場合は、話し合いで離婚(協議離婚)できます。その場合、当事者双方に離婚の意思があれば、理由を問わず離婚可能です。
また、子供の親権など条件面で折り合えない場合などでは、第三者を交えた離婚調停で離婚の話し合いをすることもできます。
配偶者が同性の恋人と浮気した場合に慰謝料の請求はできるか
配偶者の浮気は異性・同性問わずショッキングなものです。もし、同性の恋人との浮気が原因で結婚生活が破綻し、大きな精神的な苦痛を被った場合は、配偶者やその浮気相手に慰謝料を請求できる可能性があります。
同性との浮気が発覚した場合は弁護士に相談を
同性愛と離婚をめぐる問題は、まだ日本では法整備がされていない分野です。したがって、実際の事案に対応するためには、法律の専門家でないと難しい部分があります。
配偶者が同性の恋人と浮気したなど離婚を検討せざるを得ないような事態になったら、法律のプロである弁護士にご相談ください。