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審判による離婚とは

2020-01-11
離婚

離婚の手続きは、協議離婚、調停離婚など複数の種類に分類することができます。そのうち、調停による離婚が成立しない場合に、裁判所の判断で行われるのが審判による離婚と呼ばれるものです。

審判による離婚とは

夫婦双方が離婚に同意をしているものの、条件面で折り合えない場合、離婚調停を行っても話し合いがまとまらないことがあります。
こうした場合に、家庭裁判所の判断で行われるのが、離婚の審判です。
調停の合意は成立していないものの、離婚を認めたほうがよいというときには、裁判所が離婚を認める審判を行います。
審判離婚の申立てをして審判が行われた場合、双方が2週間以内に異議を申し立てなければ、そのまま審判が確定します。そして、審判を受けた後、審判離婚の申立人が10日以内に役所に「審判書の謄本」「審判確定証明書」、「離婚届け」を提出すると離婚が成立します。ちなみに、10日後以降は、相手方も書類の提出が可能になります。
一方、異議申立てが認められた場合、裁判所の審判は無効になります。また、異議申立てが却下されたとしても、審判の効力を争いたい側は即時抗告が可能です。その場合は、高等裁判所で審判に代わる裁判が行われ、当事者双方が再度お互いの主張を戦わせることになります。

審判離婚が行われるケース

審判離婚が行われるのは、当事者に離婚の意思があるのに、何らかの理由で調停成立に至らない場合です。
例えば、次のようなケースが該当します。

・親権を争っている場合
・条件面でわずかに一致できない点があるため、離婚に至らない場合
・当事者は離婚には合意しているものの、病気などの理由で裁判所に出頭できない場合
・相手方が調停を無断欠席した場合

限られたケースのみで使える制度であること、異議申立てによって効力を失ってしまうことから、実務上、審判離婚が行われるケースはそう多くはないといわれています。

審判離婚のメリット

審判離婚のメリットは、長期化しやすい離婚裁判と比較すると短期間で離婚できる可能性があることです。
また、夫婦の一方が外国人で帰国の予定がある場合、相手方が嫌がらせ目的で親権を譲らない場合、相手方が行方不明になっている場合など、話し合いで決着がつけるのが難しいケースでも離婚を成立させられる可能性があります。

審判離婚のデメリット

一方、審判離婚にはデメリットや注意点もあります。

簡単に審判を無効にできる

1つめのデメリットは、審判がひっくり返される可能性があることです。
先述したとおり、審判離婚は片方の当事者から異議申立てがあれば無効になってしまいます。
そのため、離婚調停がまとまりそうにない場合は、審判離婚ではなく最初から裁判離婚を目指すケースも多いです。

希望の条件で離婚できない可能性がある

2つ目のデメリットは、希望した条件で離婚できない可能性があることです。審判離婚の場合、裁判官が離婚の条件まで決めてしまうため、自分の希望した条件で離婚できないおそれがあります。

審判離婚を検討するなら弁護士に相談を

審判離婚になるケースは実務上そこまで多くはありませんが、親権を争っている場合など審判離婚を検討するべき場面もあります。
ただし、簡単に審判の結果がひっくり返されるおそれがあるなどのデメリットもあるので、実際に審判離婚を目指すべきかどうかを決めるためには慎重な判断が必要です。
離婚を検討し始めた時点で、一度弁護士に相談されることをおすすめします。

著者

後藤千絵先生
弁護士

後藤ごとう 千絵ちえ

京都府生まれ。滋賀県立膳所高校、大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に総合職として入社。

30歳を過ぎてから法律の道を志し、2006年に旧司法試験に合格。

08年に弁護士登録し、2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所を設立。

離婚や相続など、家族の事案を最も得意とし、近年は「モラハラ」対策にも力を入れている。

著作に「誰も教えてくれなかった離婚しないための結婚の基本」(KADOKAWA)、『職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術』(三笠書房)がある。

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