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へそくりは財産分与の対象となるのか

2019-12-31
離婚

財産分与の問題は、離婚する夫婦の間でしばしば揉め事の原因になります。たとえば、夫婦の一方が配偶者に黙ってへそくりをためていることが発覚した場合では、へそくりも財産分与の対象になる可能性があるため、その扱いをめぐって問題が生じます。

へそくりは財産分与の対象になるのか

へそくりが財産分与の対象になるかどうかは、そのお金の出どころによります。
日本は夫婦別産制のため、結婚前に貯めた貯金や相続財産など自分の名前で得た財産は、その人の特有財産になるからです。
たとえば、結婚前に内緒で貯めたへそくりについては、その人の特有財産となるので財産分与の対象にもなりません。
一方、婚姻中に2人で協力して築いた財産は、夫婦の共有財産として財産分与の対象になり、離婚時には精算する必要があります。結婚中に貯めたへそくりについては、相続財産を貯めたなどの事情がない限り、財産分与の対象になります。

へそくりが財産分与の対象になる場合

へそくりが夫婦の共有財産といえる場合には財産分与の対象となります。そもそもへそくりは、配偶者に黙ってコッソリ貯めるものですが、実際には2人の共有財産になります。
生活費の一部など一度に家計に入ったお金は、たとえ夫婦の一方が稼いできたお金であっても共有財産として
扱われることになるのです。
したがって、次のような経緯で貯めたへそくりは、すべて共有財産として財産分与の対象になります。

・妻が生活費の一部を貯めていた
・夫が給与の一部をコッソリへそくりに回していた

こういったタイプのへそくりは財産分与の対象となるため、離婚時には配偶者と分け合わなければなりません。

配偶者がへそくりを貯めていることに気づいたら

もともと、へそくりは密かに貯めるもの。それだけに、配偶者のへそくりの存在に気づくのは難しいといえます
特に、次のような場合は隠されたへそくりを見つけるのは難しくなります。

・縁もゆかりもない地方銀行の口座や銀行口座に入っている
・法人名義の口座に振り込んである
・金貨やブランド腕時計のような「モノ」に変わっている

こうした場合は、配偶者あての郵便物を調べるなどの対策が必要になります。

へそくりによる財産隠しに気づいたら弁護士に

へそくりは夫婦の共有財産になるので、財産分与の対象となります。
しかし、世の中、正直にへそくりの存在を白状してくれる人ばかりではありません。なかには、離婚に備えて「へそくり」という形で少しずつ財産隠しをする配偶者もいるため、離婚を検討しているのであれば注意が必要です。
もし離婚話が持ち上がった際、配偶者の財産隠しが疑われるようであれば早めに弁護士にご相談ください。
裁判所の調停手続きなどを通じて、隠した相手の財産を把握できる場合があります。
その他の法的問題に対する相談にものってもらえるので、離婚を有利に進めたいなら一度相談されてみてはいかがでしょうか。

著者

後藤千絵先生
弁護士

後藤ごとう 千絵ちえ

京都府生まれ。滋賀県立膳所高校、大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に総合職として入社。

30歳を過ぎてから法律の道を志し、2006年に旧司法試験に合格。

08年に弁護士登録し、2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所を設立。

離婚や相続など、家族の事案を最も得意とし、近年は「モラハラ」対策にも力を入れている。

著作に「誰も教えてくれなかった離婚しないための結婚の基本」(KADOKAWA)、『職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術』(三笠書房)がある。

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