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婚姻費用はいつまで請求できますか

2019-12-26
離婚

夫婦が共同生活を営む上で必要な「婚姻費用」は、別居中も請求が可能です。収入が多い配偶者には、もう片方に生活費を渡す義務があります。
ここでは、婚姻費用を請求できる期間などについて紹介します。

婚姻費用の請求ができる期間

夫婦は、婚姻中の生活費や子供の教育費などについては、各自の収入に応じて分担する義務を持っています。そして、この義務は法的に離婚するまで続くというのが民法上のルールです。
したがって、もし別居中の夫が自分よりも収入の低い妻に生活費を渡さなかったような場合、妻は夫に婚姻費用分担請求をすることができます。
実務上、婚姻費用分担請求が認められるのは、家庭裁判所への調停・審判の申立時から、というのが一般的です。また、離婚・別居解消時まで請求をすることが認められています。
もし当事者同士の話し合いで婚姻費用の支払いについて合意できない場合は、早めに家庭裁判所に婚姻費用の分担請求調停を申し立てましょう。

婚姻費用の分担請求が認められない場合

ただし、当事者の事情によっては、婚姻費用の分担請求がそもそも認められない場合があります。
たとえば、浮気をして出ていった配偶者が婚姻費用を請求するような場合です。このような落ち度のある配偶者については、養育費を除き婚姻費用の分担請求が認められない可能性もあります。
また、「十分な生活費をもらえなかった」といった特殊な事情がない限り、現在夫婦で同居を続けている場合も婚姻費用の分担請求ではできません。

過去の婚姻費用も請求できる

婚姻費用の請求ができるのは、家庭裁判所に調停や審判を申し立ててからです。
申し立て前に支払った生活費などを、婚姻費用として相手に請求することはできません。
ただ、未払いの婚姻費用があった場合、その分を財産分与の額に反映させることは可能であるため、実質的には請求が認められています。
ただし、過去の婚姻費用の請求については、どこまで前の分を請求できるのかなど明確な基準は決まっていません。
具体的な金額などについては、未払いになった事情や収入額などを考慮して裁判所が決定することになります。

離婚後にも過去の婚姻費用を請求できるのか

婚姻費用を請求できるのは、離婚もしくは別居解消が決定するまでの期間のみです。
それでは、離婚が決定した後で、過去の婚姻費用を改めて請求することはできるのでしょうか。
この点、離婚後に過去の婚姻費用を請求できるかどうかについては、まだ判例がなく、決まった説がないのが実状です。
そのため、できれば離婚するまでに解決しておくのが望ましいといえます。

婚姻費用の請求に関する相談は弁護士に

収入の少ない方にとって、別居中の配偶者から婚姻費用がもらえるかどうかは、毎日の生活や子供の養育にも関わる大切な問題です。離婚に向けて別居を始めたら、早めに家庭裁判所に婚姻費用の分担請求調停を申し立てることをおすすめします。
弁護士は法律のプロとして、婚姻費用の問題や離婚の慰謝料など離婚に伴う様々な問題についてサポートを行う存在です。依頼者の方に対して法的なアドバイスを行うだけでなく、相手方との話し合いに難航したときは本人に代わって交渉も行います。
もし何か不安なことがありましたら、ぜひ一度ご相談ください。

著者

後藤千絵先生
弁護士

後藤ごとう 千絵ちえ

京都府生まれ。滋賀県立膳所高校、大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に総合職として入社。

30歳を過ぎてから法律の道を志し、2006年に旧司法試験に合格。

08年に弁護士登録し、2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所を設立。

離婚や相続など、家族の事案を最も得意とし、近年は「モラハラ」対策にも力を入れている。

著作に「誰も教えてくれなかった離婚しないための結婚の基本」(KADOKAWA)、『職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術』(三笠書房)がある。

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