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素行調査された探偵を訴えることはできますか?

2019-12-23
離婚

配偶者が浮気などを疑い、探偵に素行調査をさせる場合があります。その際、実際に素行調査をされた方の中には「プライベートを勝手に覗き見された」と怒る方もいるのではないでしょうか。
しかし、だからといって、探偵を訴えられるのかというと話は別です。探偵の調査方法によっては、尾行なども合法と考えられるからです。

探偵の素行調査は違法?

探偵の素行調査のやり方については、探偵業法で厳格にルールが定められています。
たとえば、特定の人の行動についての情報を集めるために、探偵が聞き込み、尾行、張り込みなどをする行為は、適法な業務行為です。
つまり、依頼主の調査を受け、浮気調査や素行調査をするのは探偵にとっては「正当な仕事」であり、適切に行われている限りは合法といえます。
つまり、普通に尾行されたり、張り込みされたりしただけでは、探偵は違法な行為をしたとはいえないのです。
したがって、調査を受けた側としては探偵を訴えることはできないということになります。

調査が違法な場合は訴えることができる可能性も

もっとも、探偵の調査が合法とされるのは、あくまでも適切に調査を行った場合のみです。
行き過ぎた調査や行為があった場合には、警察に相談したり、プライバシーを侵害された損害賠償を請求できたりする可能性があります。

他人の住居に侵入する場合

調査のためとはいえ、探偵が他人の住居に勝手に入ったり、カメラ・盗聴器を仕掛けたりする行為は、住居侵入罪などの犯罪行為に該当します。
また、他人の車にGPSを仕掛けるのも違法な調査です。

行き過ぎた尾行・張り込み

強引な尾行、張り込みは「つきまとい行為」などに当たり、軽犯罪法違反や各都道府県の迷惑防止条例違反に問われる場合があります。

犯罪行為を助長する目的調査を行った場合

依頼主がストーカーだった場合など、犯罪行為を助長する目的で調査を引き受けた場合は、探偵側の責任問題になります。

プライバシーを侵害した場合

素行調査では対象者の私生活がある程度暴かれることになります。
しかし、多くの場合、素行調査の依頼主には「配偶者が浮気しているかどうか確かめたい」など正当な理由があるものです。
依頼主から依頼を受け、適切な調査を行っている限りは、他人の生活を調査しても必ずしも違法とはいえません。
ただし、探偵が調査で得た情報を不特定多数の人に公開した場合は、「プライバシーを侵害した」として探偵を訴えることが可能です。

名誉毀損をした場合

探偵が調査で得た情報を依頼人以外の第三者に無断で公開し、調査対象者の名誉を毀損した場合には刑法上の名誉毀損罪に該当します。
調査対象者としては、当然損害賠償請求を請求することも可能です。

違法な調査が発覚した場合は?

探偵による違法な素行調査が発覚した場合、調査対象者は探偵に損害賠償を請求できる可能性があります。
さらに、違法な調査をしていることを依頼主が知っていた場合は、依頼主の責任を問うことも可能です。

離婚時の素行調査に関するトラブル相談は弁護士に

探偵の素行調査は、離婚時の証拠収集ではごく一般的に行われるものです。また、適切な方法で調査が行われている限りは合法なため、調査対象者としてはクレームをいれるのは難しいかもしれません。
もっとも、場合によっては探偵側に行き過ぎがあり、違法な調査が行われてしまうケースもあります。
素行調査に関連して何か被害を受けた場合は、一度弁護士を交え対応を考えることをおすすめします。

ご相談をご検討の方はこちらをご覧ください

ご相談の流れ | 西宮・尼崎の弁護士による離婚法律相談

著者

後藤千絵先生
弁護士

後藤ごとう 千絵ちえ

京都府生まれ。滋賀県立膳所高校、大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に総合職として入社。

30歳を過ぎてから法律の道を志し、2006年に旧司法試験に合格。

08年に弁護士登録し、2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所を設立。

離婚や相続など、家族の事案を最も得意とし、近年は「モラハラ」対策にも力を入れている。

著作に「誰も教えてくれなかった離婚しないための結婚の基本」(KADOKAWA)、『職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術』(三笠書房)がある。

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