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財産分与で得た財産に税金はかかりますか

2019-12-09
離婚

財産をもらった場合、贈与税などの税金がかかることがあります。それでは、離婚時に財産分与で得た財産にも税金はかかるのでしょうか。
以下、詳しく見ていくことにしましょう。

財産分与と贈与税

財産分与で得た財産には、原則として贈与税はかかりません。
これは、離婚の財産分与でもらった財産は相手から「ただでもらったもの」、すなわち贈与されたものではなく、夫婦間の財産分与義務にもとづいて受け取ったものとみなされるためです。
ただし、分与された財産の額が大きい場合は例外的に贈与税が問題になることがあります。
婚姻期間中に夫婦で得た収入など様々な事情を考慮しても、財産分与の額が相場より多すぎるとなった場合は、その多すぎる部分に対して贈与税がかかる可能性があるのです。
さらに、贈与税・相続税を免れるために離婚したと認められる場合は、財産分与で受け取ったすべての財産に対して贈与税がかかってきます。

財産分与と不動産取得税

不動産を取得したときにかかる不動産取得税についても、原則として贈与税と同じように考えます。
財産分与で不動産を取得した場合は、不動産を新たに買ったり、もらったりしたとはみなされないからです。したがって、基本的に不動産取得税も課されることはありません。
ただし、もらった財産の金額が相場と比べて多すぎるときには、受け取った不動産に不動産取得税が課せられる可能性があります。
ちなみに、不動産取得税の金額は次のような計算式で算出可能です。

・固定資産評価額×4%(居住用の土地・建物は3%)

なお、不動産取得税がかからなかったとしても、登記時に必要な登録免許税、および毎年の固定資産税はかかります。
不動産を財産分与で受け取る場合は、その後の税金にも注意しましょう。

離婚の慰謝料や養育費に税金はかかる?

財産分与で得た財産には基本的に贈与税などがかかりませんが、離婚時の養育費や慰謝料についてはどうでしょうか。
ここでは、養育費や慰謝料にかかる税金について紹介します。

養育費

養育費は扶養義務にもとづく支払いとなるため、原則贈与税等はかかりません。
ただし、養育費を一括で払ってもらった場合は問題になる可能性があります。
本来、子供の生活費として渡される養育費は毎月払いが基本です。ただ、相手がまとまった資金を用意できた場合は一括で支払うケースがあります。
その場合、離婚時にもらう相場の金額を大きく超える贈与を受けることになるため、贈与税などが課税される可能性があるのです。

慰謝料には税金はかからない

慰謝料は、精神的苦痛をお金で賠償する損害賠償金にあたります。
もらった人が利益を受けているとはいえないため「贈与」にはあたらず、したがって当然税金もかかりません。
ただし、離婚前に慰謝料の相場金額を超えるような高額の不動産を贈与された場合、高額の慰謝料の支払いによる脱税などが疑われる場合は例外的に贈与税が課せられる場合があります。

離婚の財産分与などの相談は弁護士に

離婚時にもらう財産分与や慰謝料といったお金は、もらう側にとっては今後の生活を支えるための大切な資金です。
ただ、実際に財産分与について話し合う場面というのは税金はもちろんのこと、金額をどうするのかなど様々な問題が出てきます。
解決には法的な知識が求められることも少なくありません。
弁護士は法律のプロとして、離婚に関わる法的な問題全般のサポートを行っています。現在離婚を考えている方は、一度相談してみてはいかがでしょうか。

著者

後藤千絵先生
弁護士

後藤ごとう 千絵ちえ

京都府生まれ。滋賀県立膳所高校、大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に総合職として入社。

30歳を過ぎてから法律の道を志し、2006年に旧司法試験に合格。

08年に弁護士登録し、2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所を設立。

離婚や相続など、家族の事案を最も得意とし、近年は「モラハラ」対策にも力を入れている。

著作に「誰も教えてくれなかった離婚しないための結婚の基本」(KADOKAWA)、『職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術』(三笠書房)がある。

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