当事務所に寄せられたご質問にお答えいたします。
30代男性。妻と離婚には合意しており財産分与の話し合いをしたいのですが、妻は一刻も早く離婚したいらしく、話し合いに応じてくれません。そこで、調停で財産分与手続きができると聞いたことがあるのですが、その場合、どのような手続きをすればいいでしょうか?
「離婚調停」と聞くと「離婚する・しない」の話し合いが行われる場というイメージがあるかもしれません。しかし、離婚に合意している夫婦が財産分与や慰謝料などの話し合いで折り合いがつかず、調停で財産分与を行うこともあるのです。財産分与手続きを調停で行う方法と、必要な手続きについて詳しくご紹介します。
離婚から2年以内なら財産分与は可能
法律上、財産分与は離婚時と離婚から2年以内にできるものと定められています。2年を過ぎると財産分与を求めることはできません。
離婚には合意していても夫婦どちらか一方が話し合いに応じない場合や、話し合いで両者が一歩も譲らず平行線のままで離婚手続きが進まないときにも調停での財産分与手続きができます。
また、離婚から2年以内なら離婚後でも財産分与手続き調停が認められているので、離婚前後に事情があって夫婦間で話し合いができないときなど、少し時間をおいてから改めて調停で解決を目指すこともできます。例えば、DVなどで身体的な危険を伴うために財産分与の話し合いができない場合は、離婚して双方が精神的に落ち着いてから財産分与や慰謝料について話し合う方が円満に解決できることもあるのです。
調停では、本人と直接会わなくても調停員を介して話し合いができますし、第三者が介入することで当事者も冷静に話し合いができ、スムーズな解決を目指せます。
ただし、離婚の際に公正証書などで慰謝料や財産分与など財産上の請求をしないと約束した場合は、離婚後に請求することはできないので注意しましょう。
財産分与の手続き調停で話し合われること
財産分与では、婚姻中に夫婦間で協力して築き上げた共有財産を原則として2分の1ずつ分割します。夫婦間で納得すれば必ずしも2分の1ずつでなくてもかまいません。調停委員が夫婦の共有財産を把握し、財産の取得や維持に双方がどの程度貢献したのか話を聞いた上で、双方が納得のいく分配ができるよう調整します。
調停委員が介入すれば夫婦間だけでは折り合いがつかなくても、客観的に公平な分配ができ、夫婦どちらか一方の理不尽な条件に屈することなく話し合いを進められます。夫婦間での解決が難しく、離婚手続きを進めたい方は財産分与手続き調停の利用をおすすめします。
財産分与手続き調停の申し立て先と必要書類
財産分与手続き調停は、相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所に申し立てを行います。
手続きにかかる費用
・収入印紙1200円分
・連絡用の郵便切手(金額は裁判所によって異なるため申し立てる家庭裁判所にお問い合わせください)
必要な書類
・申立書とその写し1通
・標準的な申立添付書類
離婚時の夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)、
夫婦の財産に関する資料(不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、預金通帳写し又は残高証明書等)
※必要に応じて追加書類の提出を求められることがあります。
なお、調停での話し合いでも解決できなかった場合は、引き続き審判手続きで審理が行われます。