長年連れ添ってきた夫婦でも離婚することはあります。
一緒にいた期間が長いほど,離婚するときにはすぐにでも離婚したいと思う人が多いようです。
長い夫婦生活でずっと我慢していたことがあったのでしょう。
では,すぐにでも離婚したいと思ったときに,何をすべきなのか,順を追って説明していきます。
●離婚するには
民法770条1項に夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができるとされています。
1 配偶者に不貞行為があったとき
2 配偶者から悪意で遺棄されたとき
3 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
4 配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込みがないとき
5 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
です。
性格の不一致が離婚原因として一番多いですが,民法770条1項5号に当てはまります。ただし,婚姻を継続し難い重大な事由なので,客観的に婚姻が破綻している事実を積み重ねる必要があります。
●離婚の種類
1)協議離婚
2)調停離婚
3)裁判離婚
4)審判離婚
の4つがあります。
日本では,約90%が協議離婚で終わっているようです。
調停・裁判・審判事件は裁判所など,第三者が介入するので,時間と労力を要します。
一秒でも早く離婚したいのであれば,協議離婚だと,比較的早く解決します。
ただ,離婚までの時間が短ければ短いほど,決めるべきことを決められていないことがあるので,後々トラブルになることがあります。
●一秒でも早く,トラブルを回避しながら離婚するには
トラブルを回避するには,“離婚協議書”を作成しましょう。
離婚協議書とは,
・財産分与
・子どもの親権
・養育費
・慰謝料
・年金分割
をどうするか書面で決めておくことです。
今後のトラブルを回避するために離婚協議書を作成するので,間違っていると結局トラブルになってしまうので,注意しましょう。
どのような内容を協議書に書けばいいのか,具体的にみていきましょう。
1 離婚合意
夫婦共に離婚に合意したことを書きます。離婚届をいつ,誰が役所に届出するか決めることもあります。
2 親権者の指定
夫婦のどちらが親権者(監護権者)になるのかを決めておきます。
離れて住む方の親が今後子どもに会う頻度,面会交流の方法を決めておくといいでしょう。
3 養育費の支払い
養育費とは,子どもを育てるのに必要な費用のことです。教育費,医療費,最低限の文化費など子どもが自立するまでにかかる費用が含まれます。
記載していく内容は,養育費を支払うのかどうか,支払うなら金額はいくらか,いつからいつまで支払うのか,支払い方法を決めておきます。
養育費の算定方法があるので,それをもとに金額を決めるといいでしょう。
4 慰謝料の支払い
相手から精神的苦痛を受けたときに支払ってもらえるお金です。
慰謝料を支払うのかどうか,金額はいくらか,一括で支払うか,分割で支払うかなど決めます。
5 財産分与
財産分与とは,結婚生活中に夫婦で築き上げた財産をそれぞれの貢献度に応じて分配することです。
どの財産を分配するか,譲り渡す財産はどれかなどを記載していきます。
6 年金分割
結婚期間中に支払った保険料は,夫婦が共同で納めたものにする制度です。専業主婦であれば,離婚すると自身では保険料を納めていなかったことになっていたのですが,最大50%を妻が支払ったものとして,将来の年金額が計算されるようになりました。
そして,離婚協議書を公正証書にするかどうかも検討します。
●まとめ
すぐにでも離婚をしたい場合は,離婚協議書を作成し,協議離婚するのが早いでしょう。
公正証書で離婚協議書を作成する場合でも,法的な知識が必要になります。慰謝料・養育費の金額はいくらが妥当なのか,知っておくことがとても大事です。
今後トラブルを回避するためにも,弁護士に相談し,ミスのない離婚協議書を作りましょう。