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なぜ協議離婚で公正証書を作成すべきなのか?そのメリットとは

2018-12-13
離婚

話し合いによる離婚(協議離婚)では、離婚協議書を作成することが多いです。離婚協議書とは、離婚条件を記載した書類で、双方が署名押印する契約書の一種だといえます。この協議離婚書を公正証書によって作成すると、その後のトラブルを防ぐことができます。

そもそも公正証書とは?

公正証書という言葉自体が、あまり一般的ではないですよね。公正証書とは「公証人法に基づき、法務大臣に任命された公証人が作成する公文書」を指します。

離婚に限らず、相続時の遺言書なども公正証書で作成可能です。ちなみに公正証書を作成する目的は、「私的な法律紛争を未然に防ぎ、私的法律関係の明確化・安定化を図ること」です。さまざまな契約や遺言の内容を公証人に証明させ、さらに内容が変わることも防ぎます。

公正証書は、一般の契約書のように「2部作成して双方が1部ずつ保管」というような方法を取りません。基本的に原本は1部のみで、公証役場に保管されます。そのため、火事や地震、その他天災や人災による紛失、損傷を防げるわけですね。

簡単にいうと、さまざまな契約を公正証書かすることで、話し合いによって決めた事柄がより強固になり、さらに第三者のもとでしっかり保管されるようになるということです。では、協議離婚書を公正証書で作成するメリットはどこにあるのでしょうか。

離婚協議で公正証書を作成するメリット

内容が確実かつクリアになる

文章表現の曖昧さにより、いくつもの意味に理解できたり、文章そもそもがおかしかったりすると後々のトラブルに発展する可能性が高まります。公正証書は、公証人が文章をチェックし、体裁なども整えます。このとき、公序良俗に反する内容な、離婚条件になり得ないようなものも除外できるわけです。

強制執行が容易になる

公正証書には「強制執行認諾条項」という項目を設定できます。これを設定することで、離婚した相手が慰謝料などを支払わなかったとき、裁判や調停無しに差押えできるのです。
離婚時には慰謝料の支払いを約束していても、その後、支払いが途絶えてしまうことは良くあります。したがって、確実に慰謝料の支払いを受け、「不払い」を防止する抑止力になるのです。

合意した事実を争わなくて済む

私的な協議離婚書の場合、いくらしっかりと話し合っても、後から「自分が認識している内容とは違う」と言われてしまうと、争いに発展しがちです。また、「無理やり署名押印させられた」「偽造された」といった主張に対しても、反論・訂正が必要です。

一方、公正証書として作成しておくと、こういった主張はほとんど意味がありません。公証人という、法律で決められた第三者が介入して内容を担保していますから、後から「言った言わない」「事実誤認だ」という主張はできないのです。

公正証書の作成は弁護士に依頼できる!

このように離婚協議書を公正証書で作成しておくと、さまざまなメリットがあります。
特に慰謝料や養育費の支払いを受ける側であれば、可能な限り協議内容を公正証書にしておくことがベストです。ただし、公正証書の作成には以下のような手間がかかります。

・公証役場に申し込み
・公証人との打ち合わせ
・証人になってもらう人を探す
・さまざまな書類の準備
・文面の作成

こういった手間は、弁護士に依頼することで大きく削減できるうえ、確実な手続きを行ってくれます。もし協議離婚書の作成や慰謝料や養育費の支払いに不安があるのなら、離婚に強い弁護士へ相談してみましょう。

著者

後藤千絵先生
弁護士

後藤ごとう 千絵ちえ

京都府生まれ。滋賀県立膳所高校、大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に総合職として入社。

30歳を過ぎてから法律の道を志し、2006年に旧司法試験に合格。

08年に弁護士登録し、2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所を設立。

離婚や相続など、家族の事案を最も得意とし、近年は「モラハラ」対策にも力を入れている。

著作に「誰も教えてくれなかった離婚しないための結婚の基本」(KADOKAWA)、『職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術』(三笠書房)がある。

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