任意整理
債務整理を検討している場合、自己破産や個人再生でなく任意整理で済ませたいという方もいると思います。
しかし、任意整理には把握しておくべきデメリットも存在するため注意が必要です。
そこで、本記事では任意整理の概要やメリット・デメリット、実行が困難なケース等について解説します。
手続きの流れも解説しますので、ぜひチェックしてみて下さい。
任意整理の概要について
任意整理は、裁判所を介さずに債権者と直接交渉を行い、借金の利息等の減額を図る債務整理の方法です。
なお、債務者と債権者が話し合いを行うのではなく、一般的には弁護士などに依頼して金融機関と交渉するケースが大半です。
原則として、借金の元本は残りますので、自己破産や個人再生と比べると経済的なメリットは低くなります。
しかし、将来的な利息のカットや３～５年ほどの分割払いが認められれば、月々の返済負担を減らせるでしょう。
また、自己破産や個人再生よりも周囲に知られにくい、手続きなども煩雑ではなく簡単に手続きができる特徴などもあります。
任意整理のメリット・デメリット
任意整理のメリット・デメリットには下記のような点が存在します。
＜メリット＞
- ・債権者からの支払い催促や取り立てが無くなる
- ・将来利息の減額や返済期間の延長で月々の負担を軽減できる
- ・会社や家族に知られるリスクを極力抑えられる
- ・居住している家や財産などを残しやすい
- ・自己破産や個人再生と比べて手続きが簡単
- ・過払い金があればお金が戻る可能性もある
- ・信用情報への影響を自己破産等に比べて軽減できる
＜デメリット＞
- ・弁護士や司法書士への依頼費用が掛かる
- ・クレジットカードやローンの審査が通りにくくなる
- ・返済元本の減額は基本的にできない
- ・交渉が上手くいかないケースもある
- ・安定した収入がなければ利用できない
任意整理は、基本的に元本減額ができないため、返済額が高額すぎない方におすすめです。
また、交渉が成功しても月々の返済は必要ですので、安定的な収入がないと取れない点にも注意しましょう。
任意整理が難しいケースとは？
次に任意整理が難しい事例についても確認しましょう。
具体的には下記のようなケースがあります。
① 借金の総額が大きすぎる場合
利息部分を減額、もしくは返済期間を延長しても、借金総額が大きく月々の返済額を支払えなければ任意整理は難しいでしょう。
この場合、自己破産や個人再生の手続きを取る必要があります。
② 収入が不安定で返済計画に無理がある場合
収入が少ない、もしくは途絶える可能性が高い場合、返済計画を立てても信用されないため任意整理ができません。
③ これまでに返済を１回もしていない場合
過去の借金の返済を一度もしていない場合、最初から返すつもりがないと判断され交渉に応じてくれないケースがあります。
④ 担保付きの借金である場合
任意整理を予定している借金に担保を設定していた場合、金融機関等は担保にした財産を売却して借金返済に充てるケースがあります。
こうした事例では、任意整理で借金を減額する必要性もないため交渉は難しくなるでしょう。
任意整理が向いている人
債務整理には様々な方法がありますが、任意整理に向いているのは下記のような方です。
事前に確認しておきましょう。
① 利息の支払いがなくなれば完済できそうな人
任意整理では利息の免除が基本となるため、利息支払いがなくなれば借金を完済できそうな方に向いています。
② ３～５年以内に借金の元金完済ができそうな人
交渉では返済期間の延長を行い３～５年程度の分割返済とするケースが一般的です。
この期間内に借金の元金を完済できる見込みがあれば利用できるでしょう。
③ 車やバイク、住居などの資産を処分したくない人
生活に欠かせない住居や、仕事に利用する車・バイクなどを処分したくない方も任意整理が良いでしょう。
任意整理の手続きの流れ
一般的な任意整理の手続きについては、以下のような流れになっています。
＜手順１＞ 任意整理の可否や借入額・返済原資の確認
最初に借金総額の確認や月々の返済状況、収入や支出の確認等を行います。
３～５年の分割返済で完済できる見込みがあるかがポイントです。
＜手順２＞ 交渉する債権者の決定と受任通知の発送
交渉先の債権者を決定し、弁護士や司法書士から受任通知を相手に発送します。
受任通知を送ると支払い催促や請求は一時的に止まります。
＜手順３＞ 取引履歴の受取と利息引き直し計算
債権者から取引履歴を受け取り、正確な返済額を知るために利息の引き直し計算を行います。
＜手順４＞ 債権者との交渉や合意書の作成
明確な借入残高を把握した後は債権者ごとに個別交渉を行い、話がまとまれば合意書を作成、任意整理の完了となります。
任意整理は返済見込みがある方が取れる債務整理の方法です！
任意整理の概要やメリット・デメリット、向いている方や手続きの流れの紹介でした。
任意整理は基本的に返済の見込みがある方が取れる手法です。
完済が難しい場合は、自己破産や個人再生が必要ですので注意しましょう。
ぜひ、本記事をチェックしながら任意整理を検討してみて下さい。