遺産分割協議書
はじめに
遺産分割協議書とは、相続人が遺産分割協議で合意した内容を書面に取りまとめ、相続人全員の合意書として成立させる書面のことです。
遺産分割協議書を作る必要があるのか、作るとしてどのように作るのか、今回は遺産分割協議書について学びましょう。
遺産分割とは
そもそも、遺産分割とはどのようなものかについておさらいしましょう。
遺産分割とは、被相続人が遺言書を遺さずに死亡した場合などに、相続人全員で遺産を分けることをいいます。
もし、遺言書があっても、相続人全員が同意していれば、その内容とは異なる遺産分割をすることも可能です。
遺産分割は、相続人全員の合意があればよいので、それを書面にしなければ効力がないというものではありません。
遺産分割協議書の必要性
合意だけで、遺産分割は成立するのであれば、それをわざわざ書面にする必要はないのではないかと考える方もいるでしょう。
しかし、実際には遺産分割協議書が作成されることが多いです。
その理由としては、「相続人間でした合意の内容を明確にする」、「あとで言った言わないのトラブルを避ける」といったことのほかに、遺産分割を実行する際の登記の名義変更、預貯金の名義変更、株式の名義変更や、相続税の申告をする際に遺産分割協議書の添付が求められるということがあります。
やはり、遺産分割が成立した以上は速やかに遺産分割協議書を作成すべきといえるでしょう。
遺産分割協議書の作成
遺産分割協議書には何か書式や記載のルールがあるわけではありません。
しかし、相続人の権利や義務がその記載からはっきりと分からなくては、のちのちのトラブル防止という点でも意味がないでしょうし、各機関に提出しても、この遺産分割協議書では手続が進められません、と言われる可能性すらあります。
全国銀行協会は、そのHPで、「遺産分割協議書には相続人全員が署名をしたうえで実印を捺印ください。金融機関は、遺産分割協議が成立したことを確認するため、相続人全員の印鑑証明書により、遺産分割協議書上の相続人全員の署名捺印を照合させていただきます。」と案内しており、きちんと実印の捺印がある遺産分割協議書を提出することを求めています。
遺産分割協議書の作成には相続知識と記載についての技術が必要になります。
たとえば、不動産について、ただ、住所を書いて、ここにある建物は・・・などと表示するだけでは不動産の特定として十分なものとは限りません。
建物であれば
【建物】
所 在 ○市○町○丁目
家屋番号 ○番○
種 類 木造
構 造 ストレート葺2階建
床 面 積 1階 50.00㎡
2階 45.00㎡
などという記載が通常です。
そしてこれを記載するにあたっては、登記簿謄本を取り寄せる必要があります。
その他の財産についての記載も、裏付けとなる資料を取り寄せたうえに、正確な記載をすることが必要です。
できあがった遺産分割協議は人数分用意して、すべての相続人が署名押印をし、各自保管することになります。
通常はこれに、印鑑証明書も添付することになります。
まとめ
遺産分割協議書の作成にあたっては、そもそも、相続財産を把握し、自分たちが分かっている以外に相続人がいないのかを調査することが必要です。
また、そもそも、そのような遺産分割の方法でよいのか、何か法的な問題があるのかなどは専門家の判断が必要といえます。
そもそも、遺産分割は、兄弟間の確執がそれぞれの配偶者を巻き込んで顕在化したり、これまでの柀相続人に対する介護の貢献に対する不満が募っており、遺言書通りの相続分に納得できないなど、デリケートな問題が生じやすいのが特徴です。
遺産分割協議書を作成したいと考えているかたは、まずは弁護士に相談するのがよいでしょう。