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教育資金贈与信託制度の概要と注意点、特別受益との関係

後世に財産をのこすとき、金額に応じて「相続税」や「贈与税」がかかることをご存じの方は多いでしょう。しかし、一定の条件を満たせば課税されずに財産を遺すことも可能です。これにはいくつかの方法がありますが、その中でも今回は「教育資金贈与信託制度」について解説します。

教育資金贈与信託制度とは?孫に非課税で財産を遺せる?

まず、教育資金贈与信託制度の概要について解説します。

教育資金贈与信託とは、子や孫等の教育資金に使うことを目的として、信託銀行等にお金を信託した場合、「1500万円まで贈与税が課税されない」制度です。この制度のメリットは、以下3つに集約されます。

・1500万円までであれば、税金を気にすることなく贈与できる。
・信託銀行が税務署への手続き等を行うため、事務的な負担が軽減される。
・預けた資金が、確実に子や孫の教育資金として使われる

教育資金贈与信託制度のポイントは、通常の銀行へ「預金」ではなく、信託銀行への「信託」であることです。信託とは「託された財産(現金や有価証券、不動産)などを管理・運営すること」であり、「確実に教育に使われること」が保証されているわけです。
特定の第三者に預けたり、本人に直接手渡したりすると、教育以外の用途に使われる可能性があります。しかし教育資金贈与信託制度では、こういったリスクを回避しつつ、節税もできるため、相続の一環として使われるようになりました。

教育資金贈与信託制度の注意点は?

このように便利な教育資金贈与信託制度ですが、以下のような注意点があります。

1.教育資金贈与信託制度を契約できる銀行は、一つに限られる。
2.教育資金として使用されなかった分については、贈与税の課税対象になる。
3.信託銀行が預かった資金を運用して収益が発生した(増えた)分については、受益者(子や孫)の所得となり、差額分に所得税がかかる。
4.贈与を受ける者の年齢が30歳未満でなくてはならない。
5.平成31年3月31日までに信託された財産が対象

ただし、5については、2018年の12月下旬に「2年間延長」が決定しています。つまり「2022年の3月末まで制度利用が可能」ということですね。また、「受け取る側の所得が1千万円超の場合は除外」「23歳以上の子や孫の習い事、レジャー用の免許取得(ボートなど)は対象外」といった改正も見込まれていることに注意しましょう。

教育資金特別贈与制度は「特別受益」にあたるの?

この制度への質問としてよく挙がるのが「特別受益」に該当するかというものです。結論をいうと、原則として教育資金贈与信託制度は「特別受益にあたらない」とされています。

特別受益とは、「共同相続人の中に、特別な受益を受けたものがあるときは、相続分の前渡しとみなし、相続財産に持ち戻して相続分を算定する制度」です。これは民法903条に規定があります。

“第903条 (特別受益者の相続分)
1.共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
2.遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
3.被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。”

簡単にいうと「前もって何らかの形で財産をもらっていた相続人は、その分を後々の相続のときに計算に加える」ということです。

ただし、以下のような場合は、特別受益に該当する可能性があるため、注意が必要です。
・子に対する贈与信託である場合(教育ではなく”生計の資本”であるかどうか)
・名義のみ孫への贈与とし、実際は子への贈与である場合
・孫が養子である場合
・子が親よりも先に死亡している状態で贈与信託した場合(孫が代襲相続人=代襲者になる)
・孫に包括遺贈(財産の全部または一部を一定の割合で示して遺贈すること)がなされた場合

教育資金贈与信託制度自体は、適切に運用されれば、節税しながら確実に後世へ財産を遺し、有効活用できる制度です。しかし、特別受益に該当すると判断されれば、遺産相続協議の場で問題になる可能性が高く、後々のトラブルに発展しかねません。これら5つのケースに該当する可能性がある場合は、まず相続に強い弁護士に相談し、アドバイスを受けるべきでしょう。

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