遺産分割後に発見した財産はどのようにすべき?
はじめに
当事務所に寄せられたご質問にお答えいたします。
昨年、母が亡くなった後、相続人である私、兄、弟の3人で遺産分割協議を済ませました。ところが、最近になって母が隠し口座を所有していたことがわかりました。この場合、また相続人が集まって遺産分割協議を行わなければいけないのでしょうか?
被相続人の財産目録をもとに遺産分割協議を行ったものの、後になって新たに財産が見つかったというケースは珍しくありません。このようなとき、相続人はどう対応するのがベストでしょうか。
遺産分割協議を再度行う
結論から申し上げると、改めて遺産分割協議を行うべきでしょう。「また話し合わなければならないのか…」と、面倒に感じるかもしれませんが、相続人にとっては新たに財産が増えることになりますから、再び遺産分割協議を嫌がる相続人はほとんどいないはずです。
ただ、協議する内容は財産の重大さや、見つかった経緯によって異なります。
①1回目を無効にして遺産分割協議をやりなおす
1回目の遺産分割協議を無効にして新たに遺産分割協議を行います。つまり、ゼロから遺産分割をやり直す方法です。新たに見つかった相続財産が重大で、1回目の遺産分割の内容も含めて協議しなおさなければならないときに行われます。
また、相続人のうちの一人が、被相続人が保有していた財産をひそかに占有していてほかの相続人に知らせていなかった場合にも、1回目の遺産分割協議を無効にする方法が採られます。他の相続人は財産目録に記載された遺産がすべてだと思っていた点で「要素の錯誤」があり、遺産分割協議そのものが無効となるため協議のやりなおしが求められるのです。
②未分割の遺産についてのみ遺産分割協議を行う
1回目の遺産分割協議で決まった配分とは別に、新たに見つかった相続財産に関してのみ遺産分割協議を行う方法です。新たに見つかった相続財産がそれほど高額ではない、または重大なものではないときにこの方法で協議が行われることが多いです。
または、1回目の遺産分割協議後に相続した財産を消費または処分してしまい、相続財産を遺産分割前の状況に戻すことができない場合もあるでしょう。そのようなときにも、新たに見つかった相続財産にのみ遺産分割を行う方法が適切であると言えます。
まとめ
遺産分割協議後に未相続の財産が見つかった場合、再び遺産分割協議を行い、相続人を決めるための遺産分割協議を行う必要があります。
その際、2回目の遺産分割協議書には、同様の事態を防ぐため「今後新たに見つかった財産は〇〇が相続する」というように、新たに財産が見つかったときの対応について記載すると良いでしょう。
万が一、遺産分割後に新たな財産が見つかったときや、相続人同士でトラブルに発展するおそれがあるときは弁護士にご相談ください。当事務所には相続に関するトラブルや相談事に数多く対応してきた弁護士が問題解決までサポートさせていただきます。