どれだけ借金があるのかわからない
借金を抱える方の中には、借入先が何社あるか、いくら借りているか、わからなくなっている方も少なくありません。
そこで、本記事では、自分の借金がどれだけあるかを把握する方法について解説します。
借金がわかった後の対処法についても解説するので、参考にしてください。
自分の借金がどれだけあるかを把握する方法
自分の借金がどれだけあるかを把握する方法は、次の3つです。
- ・借入先から受け取る領収書や取引記録を確認する
- ・信用情報機関に問い合わせて調べる
- ・弁護士事務所に債務調査を依頼する
弁護士に債務調査を依頼すれば、負担なく借金を把握できますが、費用負担も大きいため、まずはご自身で債務履歴を調べてみてください。
借入先から受け取る領収書や取引記録を確認する
まずは借入先から受け取る領収書や取引記録を確認してください。
闇金から借りていない限り、領収書や取引記録が残っているはずです。
領収書や取引記録は、消費者金融や金融機関の専用の会員専用ページや専用アプリから確認できます。
会員専用ページや専用アプリにログインできない場合は、借入先の提携ATMを利用して借金の残高を確認できるほか、消費者金融や金融機関に直接問い合わせて確認することもできます。
後者の確認方法は、借入先のホームページに記載される問い合わせ窓口や電話番号から容易に実行できるため、本人確認書類を持参の上、試してください。
信用情報機関に問い合わせて調べる
そもそも借入先がわからない場合は、信用情報機関に問い合わせて借金額を調べてください。
信用情報機関は、クレジットカードや各種ローンなどの契約や申し込みに関する信用情報を収集している機関です。
信用情報機関に開示請求すると、借金の残高や返済状況だけでなく、滞納など消費生活上の事故情報を把握できます。
信用情報機関は3社あり、それぞれで加盟している消費者金融や金融機関が異なります。
借入先が登録しているとみられる信用情報機関から順次問い合わせてみましょう。
信用情報機関 | 加盟機関 |
---|---|
株式会社日本信用情報機構(JICC) | ・消費者金融会社 ・信販会社 ・流通、銀行、メーカー系クレジット会社 |
株式会社シー・アイ・シー(CIC) | ・消費者金融会社 ・携帯電話会社 ・保険会社 |
全国銀行個人信用情報センター(KSC) | ・銀行 ・信用組合 ・信用金庫 |
弁護士事務所に債務調査を依頼する
過去の借金を正確に知りたい場合は、弁護士事務所に債務調査を依頼しましょう。
債務調査とは、債務整理に先立ち、借金などの負債がどのくらいあるか、正確な金額を調査し、集計する手続きです。
個人再生や自己破産といった債務整理で、再生計画案の不認可や免責の不許可につながる申告漏れを防ぐ上で、有用な手続きとされています。
債務調査は、借金の過払い金調査もあわせて依頼が可能。
費用相場は、数万円と高くないため、気軽に利用するとよいでしょう。
借金がわかった後の対処法
借金がわかった後の対処法は、次の4つです。
- ・借金の全体像を整理する
- ・返済計画表を作成し、実行する
- ・消滅時効を援用する
- ・債務整理を検討する
法的手段を検討すると、金銭的・労力的な負担が大きいため、まずは、自力で解決できる部分から上記対処法を実行してください。
借金の全体像を整理する
まずは借金の全体像を整理してください。
整理すべき情報の一例は、下記の通りです。
- ・借入先
- ・適用金利
- ・借入残高
- ・最終返済日
- ・連絡先
これらの情報をエクセルやグーグルスプレッドシートなどを利用し、一覧表にまとめてください。
借入先ごとに毎月の返済日や本来の完済予定日を記載するのも、借金問題を把握する上で有用です。
返済計画表を作成し、実行する
借金の全体像が整理できた後は返済計画表を立てて、実行していきましょう。
返済計画表は、返済額や返済回数、債務残高などをまとめた表です。
全体像を把握する際に作成した一覧表と似ていますが、返済計画表には、計画の履行を前提とした、より詳細な情報を記載します。
返済計画表に記載する情報は、下記の通りです。
借入金額 | 借入の総額 |
借入残高 | 残っている借金の残高 |
返済額 | 一月当たりに返済する元金と利息の金額 |
借入日 | 借入した日時 |
払込期日 | 毎月の返済日 |
返済利息 | 現在適用されている利息 |
返済方法 | 元利均等方式または元金均等方式 |
金利タイプ | 変動金利または全固定金利 |
返済計画表を作成した後は、毎月の収入と支出の額を書き出しましょう。
すると、返済計画表に充てられる金額が明確になります。
計画倒れが見込まれる場合は、返済計画表を見直すか、日々の生活を節制し、支出額を減らしましょう。
消滅時効を援用する
借金の消滅時効が援用できるかも、検討しましょう。
消滅時効は、債権者が債務者から借金を回収する権利を行使しないまま、一定期間が経過した場合に、借金の回収権利を消滅させる制度。
商法522条によれば、金融業者からの借金の場合、滞納などで最終取引日から5年経過すると、消滅時効が成立します。
消滅時効の成立が見込まれる場合は、時効援用通知書を作成し、配達証明付きの内容証明郵便で債権者である借入先に郵送しましょう。
時効援用の結果、消滅時効が成立すると、借金の支払い義務が消滅します。
ただし、裁判を起こされていたり、支払う約束をして債務を承認したりしている場合は、消滅時効を援用できない点に注意が必要です。
債務整理を検討する
ここまでの対処法で借金返済が難しいのであれば、債務整理を検討しましょう。
債務整理とは、借金の減額や免除、支払いの猶予を目的として、利息制限法や破産法などの法的手続きに基づき、債務整理する手続きです。
ここからは、債務整理の主な手法である任意整理、自己破産、個人再生の3つについて解説します。
任意整理
任意整理は、裁判所を介さず、直接借入先と交渉し、将来利息や遅延損害金などを免除してもらい、毎月の返済額の減額や、分割和解を図る方法です。
原則として利息の支払いが免除されるため、借入先に支払う総返済額が大幅に減額されるメリットがあります。
個人再生
個人再生は、裁判所に申し立て、借金額や資産額に応じて借金を5分の1から10分の1に減額してもらった上で、残りの借金を3年かけて分割で支払う手続きです。
持ち家や車などの私的財産を残した上で、借金を大幅に減額できるメリットがあります。
自己破産
自己破産は、裁判所に申し立て、全ての借金の支払い義務を免除してもらう手続きです。
自宅や車、保険など、自分名義の財産を清算させられる代わりに、借金がすべてなくなるメリットがあります。
ただし、ギャンブルや浪費による借金は、免責を受けられない可能性がある点に注意が必要です。
借金問題でつまずく前に弁護士にご相談ください
借金の調査方法には、過去の取引記録を調べたり、信用情報機関に問い合わせたりする方法があります。
ただし、借入先が何社もある場合は、独力で借金の全容を把握するのが難しいといったケースがあるでしょう。
そのような場合は、ぜひ弁護士事務所に債務調査を依頼しましょう。
法律事務所は、債務調査で実績が多数あります。
返済計画表の作成方法や債務整理についても、的確なアドバイスをします。
まずはお気軽にご相談ください。