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離婚後の子どもの戸籍と姓はどうなる?手続きの流れと注意点を解説

2026-08-30
離婚

離婚が決まった際、ご自身の姓をどうするかとあわせて考えておきたいのが、お子さまの戸籍と姓の取り扱いです。「母親が旧姓に戻ったら、子どもの姓も自動的に変わるのだろうか」というご質問をいただくことがあります。
結論から申し上げると、離婚届を提出しただけでは、お子さまの戸籍と姓は変わりません。親権者が母親になった場合でも、お子さまは父親の戸籍に残り、姓もそのままとなります。姓を同じにするためには、別途手続きが必要です。
この記事では、離婚後にお子さまの戸籍と姓がどのような扱いになるのか、姓を変更する場合の手続きの流れ、判断にあたって考慮したい点について整理します。
 

① 離婚届を出しただけでは子どもの戸籍は動かない

戸籍は、夫婦と未婚の子を単位として編製されています。婚姻の際に夫の姓を選んだご夫婦であれば、夫が戸籍の筆頭者となり、妻と子がその戸籍に記載されています。  

離婚によって戸籍から抜けるのは配偶者のみ

離婚届が受理されると、婚姻の際に姓を変えた側(多くの場合は妻)が、その戸籍から除かれます。旧姓に戻って親の戸籍に入るか、新たに自分を筆頭者とする戸籍を作るかを選ぶことになります。 一方、お子さまについては、離婚によって戸籍が動くことはありません。親権者が母親に定められた場合でも、お子さまは引き続き父親の戸籍に記載されたままとなります。  

親権と戸籍は別の問題

離婚届には親権者を記載する欄がありますが、これは親権をどちらが持つかを定めるものであり、戸籍の所属を決めるものではありません。この二つが別の事柄であることは、混同されやすい点です。 親権者が母親であっても、お子さまの戸籍は父親のもとにあり、姓も父親の姓のままという状態が生じます。同居して養育している親と、戸籍上の姓が異なる状況になるということです。  

② 子どもの姓を母親と同じにするための手続き

お子さまの姓を、離婚後の母親の姓と同じにしたい場合には、家庭裁判所への申立てと役所での届出という二段階の手続きが必要です。  

手続きの前提——母親が自分の戸籍を作っておく

お子さまを自分の戸籍に入れるためには、母親自身が筆頭者となる戸籍が存在している必要があります。離婚後に親の戸籍へ戻った場合、そこにお子さまを入れることはできません。 戸籍は三代にわたって記載することができないという決まりがあるためです。したがって、お子さまと同じ戸籍に入ることを希望される場合は、離婚の際に新しい戸籍を作る選択をしておく必要があります。  

子の氏の変更許可の申立て

お子さまの住所地を管轄する家庭裁判所に、子の氏の変更許可を申し立てます。申立てができるのは、お子さまが15歳未満の場合は親権者、15歳以上の場合はお子さま本人です。  

項目内容
申立先子の住所地を管轄する家庭裁判所
申立人15歳未満は親権者 15歳以上は子ども本人
必要書類申立書・子の戸籍謄本・父母の戸籍謄本
費用収入印紙800円(子ども1人につき)と郵便切手代
期間申立てから1週間〜2週間程度で許可が出ることが多い

  この申立ては、親の離婚に伴って姓を同じにするという事情であれば、通常は許可されます。裁判所に出向くことなく、書面のやり取りだけで完了する場合も多くあります。  

入籍届の提出

家庭裁判所から許可審判書を受け取ったら、市区町村役場に入籍届を提出します。この届出によって、お子さまが母親の戸籍に入り、姓も母親と同じものになります。 許可審判書には有効期限の定めはありませんが、事情が変わる前に手続きを済ませておかれるとよいでしょう。  

③ 姓を変えるかどうかの判断で考えたいこと

手続きが可能であることと、実際に変更するかどうかは別の問題です。お子さまの状況に応じて検討することになります。  

姓を変える場合に想定されること

  • 同居している母親と姓が同じになり、日常生活での説明が減る
  • 学校や習い事の場面で、家族関係を尋ねられる機会が少なくなる
  • 保険証や各種手続きの名義が統一される

姓をそのままにする場合に想定されること

学校での呼び名が変わらず、お子さまの環境の変化が少ない 転校や進級のタイミングを待って判断することもできる お子さまが自分で判断できる年齢になってから決めるという選択もある &nbap; お子さまが小学校高学年以上であれば、本人の気持ちを確認したうえで進められることが望ましいといえます。姓が変わることは、お子さまにとって学校生活にも関わる事柄です。  

年齢による考え方の違い

未就学のお子さまの場合、姓の変更による生活上の影響は比較的小さいといえます。小学校入学前に手続きを済ませておくことで、入学後の環境が安定するという考え方もあります。 小学生のお子さまでは、クラスメイトへの説明をどうするかという点が気になるところです。学年の切り替わりや進学のタイミングを選ぶことで、周囲の変化とあわせて自然に移行できる場合があります。 中学生以上になると、本人の意向が大きな要素になります。部活動や友人関係の中で呼ばれ慣れた姓を変えることに抵抗を感じるお子さまもいれば、母親と同じ姓を望むお子さまもいます。ご本人と話し合ったうえで判断されるとよいでしょう。   姓の変更は、後から再度行うことも可能です。 いったん母親の姓に変更した後、お子さまが成人してから元の姓に戻す手続きもあります。 離婚の時点ですぐに決めなければならないものではありませんので、状況を見ながら判断されるとよいでしょう。  

④ 母親が姓を変えない場合の取り扱い

離婚後も婚姻中の姓を名乗り続けることを選ばれる方もいらっしゃいます。この場合の戸籍の取り扱いについても確認しておきます。  

婚氏続称の届出

離婚の日から3か月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出することで、婚姻中の姓を引き続き使用できます。仕事の関係やお子さまの学校生活を考慮して、この選択をされる方は少なくありません。  

姓が同じでも戸籍は別になる

ここで注意したいのが、婚氏続称によって姓が同じであっても、戸籍は別のままだという点です。母親は新しい戸籍を作り、お子さまは父親の戸籍に残ります。 姓が同じであるため日常生活では不便を感じにくいのですが、戸籍謄本を取得する場面では、それぞれ別に取り寄せる必要があります。  

戸籍を同じにしたい場合

姓が同じであっても、お子さまを自分の戸籍に入れたい場合には、やはり子の氏の変更許可の申立てが必要です。姓の文字が同じでも、法律上は「父の氏」と「母の氏」は別のものとして扱われるためです。 この点は形式的に感じられるかもしれませんが、手続きとしては省略できません。  

⑤ 戸籍と姓に関する誤解されやすい点

よくある理解実際の取り扱い必要な対応
親権者になれば戸籍も移る戸籍は移らない子の氏の変更許可の申立て
旧姓に戻れば子も旧姓になる子の姓は変わらない同上
姓が同じなら戸籍も同じ戸籍は別のまま同上
一度変えたら戻せない再度の変更も可能改めて申立てを行う

⑥ 手続きの時期についての考え方

急いで行う必要はない

子の氏の変更許可の申立てには期限がありません。離婚と同時に行わなければならないものではなく、時期を選んで進めることができます。 お子さまの学年の区切りや、転居のタイミングにあわせて手続きされる方もいらっしゃいます。  

進学のタイミングを目安にする

小学校から中学校への進学時など、環境が変わる時期にあわせることで、お子さまの負担を軽くできる場合があります。周囲の顔ぶれが変わる時期であれば、姓の変化が目立ちにくいという面もあります。  

相手方の同意は不要

子の氏の変更許可の申立てにあたって、元配偶者の同意は必要ありません。親権者が単独で申し立てることができます。 ただし、お子さまの姓が変わることは、面会交流を行っている場合など、元配偶者との関係に影響することもあります。取り決めの内容によっては、事前に伝えておくことが望ましい場合もあるでしょう。  

⑦ 姓の変更に伴う他の手続き

お子さまの姓が変わった場合、日常生活に関わる各種の名義についても変更が必要になります。まとめて行っておくことで、後の手間を減らせます。  

学校への届出

在学中の学校には、姓の変更を届け出ます。学籍簿の記載や、名簿・出席簿などの変更が行われます。時期によっては、教科書やロッカーの名前の変更も必要になるため、学期の区切りにあわせて手続きされる方もいらっしゃいます。 お子さまの気持ちに配慮し、担任の先生に事前に事情を伝えておくことで、クラスでの扱いについて相談できる場合もあります。  

健康保険証の変更

お子さまがどちらの健康保険の被扶養者となるかは、姓や戸籍とは別に決まります。母親の勤務先の健康保険に加入させる場合には、勤務先を通じて手続きを行います。 父親の扶養に入ったままとする場合もありますが、その場合は保険証の姓の記載についても確認が必要です。  

児童手当・医療費助成の手続き

児童手当は、原則としてお子さまと生計を同じくする方に支給されます。離婚によって受給者が変わる場合には、市区町村での手続きが必要です。 あわせて、ひとり親家庭への医療費助成や児童扶養手当といった制度についても、お住まいの自治体の窓口で確認されるとよいでしょう。  

銀行口座・その他の名義

お子さま名義の預貯金口座がある場合には、金融機関で姓の変更手続きを行います。通帳・届出印・戸籍謄本などが必要となることが一般的です。 その他、習い事やスポーツクラブの登録、パスポートの記載事項なども、必要に応じて変更します。  

⑧ よくあるご質問

Q. 離婚の際、旧姓に戻って親の戸籍に入りました。子どもを自分の戸籍に入れられますか。

A. そのままでは入れることができません。戸籍は親子二代までという決まりがあるため、ご自身の親の戸籍にお子さまを入れることはできないためです。まずご自身を筆頭者とする新しい戸籍を作る手続き(分籍届)を行ったうえで、子の氏の変更許可を申し立てることになります。  

Q. 子どもが2人います。1人ずつ申立てが必要ですか。

A. 申立て自体は1件の書面でまとめて行えますが、収入印紙はお子さま1人につき800円が必要です。また、お子さまごとに許可が出される形になります。15歳以上のお子さまについては、本人が申立人となる点にもご注意ください。  

Q. 元夫が子どもの姓を変えることに反対しています。手続きはできますか。

A. 子の氏の変更許可の申立てに、元配偶者の同意は必要ありません。親権者であるご本人が申し立てることができ、家庭裁判所は子の利益の観点から判断します。親の離婚に伴って同居する親と姓を揃えるという事情であれば、通常は許可される取り扱いとなっています。  

Q. 子どもが成人した後、元の姓に戻すことはできますか。

A. 可能です。未成年のうちに姓を変更した方は、成年に達した時から1年以内であれば、届出だけで従前の姓に戻ることができます。この期間を過ぎた場合には、あらためて家庭裁判所への申立てが必要となります。  

まとめ

離婚後のお子さまの戸籍と姓について、本記事で整理した内容を振り返ります。  

  • 離婚届を提出しても、お子さまの戸籍と姓は変わらず、父親の戸籍に残る
  • 親権者を母親と定めても、戸籍の所属は別の問題として扱われる
  • 姓を揃えるには、家庭裁判所への子の氏の変更許可の申立てと、役所への入籍届が必要
  • 母親自身が筆頭者となる戸籍を作っておかなければ、お子さまを入れることはできない
  • 婚氏続称で姓が同じ場合でも、戸籍を揃えるには申立てが必要となる
  • 申立てに期限はなく、お子さまの進学時期などにあわせて進めることもできる
  • 元配偶者の同意は不要で、成人後に元の姓へ戻す手続きも用意されている

&nbap; 「子どもの戸籍をどうすればよいか判断がつかない」「離婚時に新しい戸籍を作るべきか迷っている」といったご相談を承っております。お子さまの状況を伺いながら、進め方をご一緒に検討いたします。

著者

後藤千絵先生
弁護士

後藤ごとう 千絵ちえ

京都府生まれ。滋賀県立膳所高校、大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に総合職として入社。

30歳を過ぎてから法律の道を志し、2006年に旧司法試験に合格。

08年に弁護士登録し、2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所を設立。

離婚や相続など、家族の事案を最も得意とし、近年は「モラハラ」対策にも力を入れている。

著作に「誰も教えてくれなかった離婚しないための結婚の基本」(KADOKAWA)、『職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術』(三笠書房)がある。

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