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離婚後に財産分与を請求できる?期限・手続き・注意点を弁護士が解説

2026-07-31
離婚

「離婚してしまったが、財産分与の話し合いをまだしていない」「離婚後に相手が隠していた財産が発覚した」「当時は財産分与を諦めてしまったが、やっぱり請求できないか」——離婚が成立した後に財産分与の問題に気づく方は少なくありません。
結論からお伝えします。離婚後であっても、一定の期間内であれば財産分与を請求することは可能です。ただし、明確な期限があり、その期限を過ぎると家庭裁判所に申立てができなくなります。本記事では、離婚後の財産分与の可否・期限・手続き・よくある注意点まで詳しく解説します。
 

① 離婚後でも財産分与を請求できる——ただし期限がある

財産分与の請求権は、離婚成立後2年以内であれば行使することができます(民法768条2項)。この期限内に相手と合意するか、家庭裁判所に財産分与調停を申し立てることが必要です。
「2年以内」というのは、合意が成立するまでの期限ではなく、「調停の申立て」または「協議の開始」が期限内に行われていれば、その後の手続きが2年を越えても問題ないとされています。重要なのは期限内に何らかのアクションを起こすことです。
 
期限の起算点:財産分与の2年の期限は「離婚成立日の翌日」から起算されます。
たとえば2024年1月15日に離婚届が受理された場合、期限は2026年1月15日です。
「まだ余裕がある」と思っていても、弁護士への相談・証拠収集・交渉の時間を考えると早めに動くことが重要です。
 

② 離婚後に財産分与を請求できるケース

ケース1:離婚時に財産分与の取り決めをしなかった

協議離婚で離婚届だけを先に出してしまい、財産分与の話し合いを後回しにしたケースです。「とにかく早く離婚したかった」「財産分与という制度を知らなかった」という方に多い状況です。この場合、離婚後2年以内に家庭裁判所に財産分与調停を申し立てることで手続きを進めることができます。
 

ケース2:離婚後に相手が隠していた財産が発覚した

離婚時には財産分与の合意をしていたが、後から相手が隠していた財産(別名義の口座・不動産・保険など)が発覚したケースです。この場合、発覚した財産について改めて財産分与を請求することができます。ただし、離婚時の合意書や離婚協議書に「以後の請求を行わない」という清算条項が入っている場合は、請求が難しくなることがあります。
 

ケース3:財産分与が不十分だったと後から気づいた

離婚時に相手の言うままに合意してしまい、後から「受け取った金額が少なすぎた」と気づいたケースです。合意書・公正証書・調停調書などで「精算条項(以後の財産分与を請求しない)」が含まれている場合は、原則として追加の請求は難しくなります。しかし、錯誤・詐欺・強迫による合意であれば取り消せる可能性があります。
 

③ 離婚後の財産分与の手続き——3つの方法

方法1:相手と直接交渉して合意する

相手と連絡が取れる状況であれば、まず直接または弁護士を通じて財産分与の協議を申し入れます。合意が成立した場合は、内容を書面にまとめます。ただし、離婚後は相手が交渉に応じないケースも多く、その場合は調停に移行します。
 

方法2:財産分与調停を申し立てる

家庭裁判所に「財産分与調停」を申し立てる方法です。調停では調停委員が双方から話を聞いて合意を促します。期限内(離婚後2年以内)に申立てを行うことが必須です。調停で合意できれば調停調書が作成され、これが法的な拘束力を持ちます。
 

方法3:審判(調停が不成立の場合)

調停で合意が成立しなかった場合は審判に移行し、裁判官が財産分与の内容を決定します。審判では財産の評価・特有財産の有無・双方の事情を考慮したうえで判断が下されます。
 

④ 2年の期限を過ぎてしまった場合

離婚後2年の期限を過ぎてしまった場合、家庭裁判所への財産分与調停・審判の申立てはできなくなります。ただし、以下のような別の手段が残っている場合があります。
 

相手が財産を不当に取得している場合——不当利得返還請求

相手が本来分与されるべき財産を不当に保有し続けている場合、「不当利得返還請求」として通常の民事訴訟で取り戻せる可能性があります。この請求権の消滅時効は一般的に5年または10年です。
 

財産隠しがあった場合——詐欺取消しや損害賠償請求

離婚時に相手が意図的に財産を隠して不当に低い合意をさせた場合、詐欺による取消し(民法96条)や不法行為に基づく損害賠償請求ができる場合があります。ただし、これらは要件が厳しく、証拠の確保が必要です。
 

⑤ 離婚後の財産分与で注意すべきポイント

離婚前に財産の証拠を確保しておくことが最重要

離婚後に「あの財産も対象だった」と気づいても、すでに相手が財産を処分・移転してしまっていると回収が難しくなります。離婚を決意した段階で、手の届く範囲の通帳・保険証券・不動産の登記情報などをコピーしておくことが最大の予防策です。
 

清算条項・不起訴条項の確認

離婚協議書・公正証書・調停調書に「財産分与に関しては以後一切の請求をしない」という清算条項が入っている場合は、追加の請求が難しくなります。逆に、清算条項が入っていない場合は、2年以内であれば追加の請求が可能です。手元の書類を確認してください。
 

財産分与と慰謝料は別々の期限がある

財産分与の請求期限は「離婚後2年以内」ですが、慰謝料の請求期限は「不法行為を知ってから3年以内」です。財産分与と慰謝料をまとめて解決していなかった場合は、それぞれの期限を別々に管理する必要があります。
 

⑥ よくある質問

Q. 離婚して1年半が経ちます。今から財産分与を請求できますか?

A. はい、離婚後2年以内であれば請求できます。ただし、残り半年しかないため、早急に動くことが重要です。まず弁護士に相談して財産の状況を整理し、すぐに相手への申し入れまたは調停の申立てを行うことをお勧めします。期限ギリギリになると準備が間に合わないリスクがあります。
 

Q. 離婚後に相手が不動産を売却してしまいました。財産分与を請求できますか?

A. 財産分与の対象となる財産の評価時点は原則「別居時」または「離婚時」です。離婚後に相手が不動産を売却しても、離婚時の価値をもとにした財産分与を請求することはできます。ただし、相手が売却代金を使ってしまっていると回収が難しくなるため、早急に調停を申し立てることが重要です。
 

Q. 調停で「財産分与はなし」と合意してしまいました。後から請求できますか?

A. 調停で合意した内容は原則として変更できません。調停調書に「財産分与については清算が終了した」という記載がある場合は、後から追加の請求は難しい状況です。ただし、合意時に相手が財産を隠していた事実が後から発覚した場合は、例外的に請求できる余地があります。まず弁護士に調停調書の内容を確認してもらってください。
 

まとめ

  • 離婚後でも2年以内であれば財産分与の請求は可能——「もう遅い」と諦めないで
  • 2年の期限は「離婚成立日の翌日」から起算。調停の申立てが期限内に行われれば足りる
  • 離婚後の財産分与は①協議→②調停→③審判の順で進める
  • 2年を過ぎた場合でも不当利得返還請求・損害賠償請求の手段が残る場合がある
  • 清算条項が入っていない離婚協議書・公正証書であれば2年以内に追加請求ができる
  • 離婚後に相手が財産を処分してしまう前に、早急に弁護士に相談して調停を申し立てることが重要

 
「離婚してから財産分与を忘れていた」「相手が財産を隠していたことが発覚した」「2年の期限が迫っている」——期限のある問題だからこそ、一日でも早く弁護士にご相談ください。

著者

後藤千絵先生
弁護士

後藤ごとう 千絵ちえ

京都府生まれ。滋賀県立膳所高校、大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に総合職として入社。

30歳を過ぎてから法律の道を志し、2006年に旧司法試験に合格。

08年に弁護士登録し、2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所を設立。

離婚や相続など、家族の事案を最も得意とし、近年は「モラハラ」対策にも力を入れている。

著作に「誰も教えてくれなかった離婚しないための結婚の基本」(KADOKAWA)、『職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術』(三笠書房)がある。

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