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離婚調停と裁判(訴訟)の違いとは?弁護士の役割・費用・選び方を徹底解説

2026-05-24
離婚

「話し合いがまとまらないとき、調停と裁判のどちらに進めばいいのか」「調停と裁判は何が違うのか」「弁護士は本当に必要なのか」——離婚を検討している方からよく聞かれる疑問です。
離婚の法的手続きには「協議」「調停」「裁判(訴訟)」という3つの段階があり、それぞれ仕組み・費用・期間・弁護士の役割がまったく異なります。「調停を申し立てたらいきなり裁判になる」「弁護士は裁判のときだけ必要」といった誤解を持っている方も少なくありません。
本記事では、協議・調停・裁判それぞれの手続きの特徴とメリット・デメリット・弁護士が果たす具体的な役割・費用の目安まで、西宮市・尼崎市を中心に離婚案件を手がけるフェリーチェ法律事務所の弁護士が詳しく解説します。
 

① 離婚の手続きは3段階——まず全体像を把握する

日本の離婚手続きは「協議→調停→裁判」という順番で進みます。前の段階でまとまれば、次の段階に進む必要はありません。離婚の約9割は協議離婚で解決しており、調停・裁判に進むのは残りの1割程度です。
ただし日本には「調停前置主義」というルールがあり、いきなり裁判を起こすことは原則としてできません。離婚裁判を提起するためには、まず調停を申し立て、それが不成立に終わることが前提条件になります。この流れを理解しておくことが、手続き全体を正しく把握するための出発点です。
 

手続きの種類概要と特徴
① 協議離婚夫婦が直接話し合い、離婚条件に合意して離婚届を提出する。日本の離婚の約9割がこの方法。費用が最も安く、スピードも最も速い。
② 離婚調停家庭裁判所に申し立て、調停委員を交えて話し合う。合意が成立すれば調停調書が作られ「調停離婚」が成立する。
③ 離婚裁判(訴訟)調停不成立後に提起する。裁判官が離婚の可否・財産分与・親権などを判決で決定する。強制力がある分、費用と時間がかかる。

② 離婚調停とは——家庭裁判所での話し合い

離婚調停とは、家庭裁判所に「夫婦関係等調整調停(離婚)」を申し立て、調停委員(男女各1名が一般的)の仲立ちのもとで話し合いを進める手続きです。
調停の特徴は、当事者が同席しないことです。夫と妻は別々の待合室で待機し、交互に調停室に呼ばれて調停委員と話します。お互いが顔を合わせることなく手続きが進むため、相手と直接話すことが難しい状況——DVや感情的な対立がある場合——でも利用しやすい手続きです。
 

調停のメリット

  • 費用が比較的安い(申立費用は数千円程度、弁護士なしでも申立て可能)
  • 非公開で行われるためプライバシーが守られる
  • 相手と直接顔を合わせずに手続きを進められる
  • 合意内容を調停調書にまとめることで強制執行力のある書面が作られる
  • 話し合いベースで進むため、当事者の合意による柔軟な解決ができる

調停のデメリット

  • 相手が合意しなければ調停は不成立になる(強制的に離婚させることはできない)
  • 1回の期日と次の期日の間隔が1〜2か月程度あり、解決まで半年〜1年以上かかることもある
  • 調停委員は中立の立場であり、あなたの利益を守ってくれるわけではない
  • 相手が期日に出席しない場合、調停が不成立になりやすい

 
ポイント:調停委員は「仲裁者」ではなく「進行役」です。
法律の専門家ではないケースも多く、あなたの主張を最大限に引き出してくれるわけではありません。
特に財産分与・親権・養育費といった金額や条件が問題になる場面では、弁護士に同席・代理を依頼することが有利な解決につながります。
 

③ 離婚裁判(訴訟)とは——裁判官が判断する

調停が不成立に終わると、離婚を求める側が家庭裁判所に離婚訴訟を提起することができます。裁判では、双方の主張・証拠をもとに裁判官が審理し、離婚の可否・財産分与・親権・養育費・慰謝料などをすべて判決で決定します。
裁判の最大の特徴は「強制力」です。相手が離婚を拒否しても、法定離婚原因(不貞行為・悪意の遺棄・強度の精神病・回復困難な破綻など)が認められれば、裁判所が離婚を命じる判決を下します。話し合いでは絶対に解決しないケースでも、裁判を通じて離婚を成立させることができます。
 

裁判のメリット

  • 相手が合意しなくても、裁判官の判決によって強制的に離婚を成立させることができる
  • 法定離婚原因が認められれば、相手の同意なしに離婚が確定する
  • 判決には強制執行力があり、財産分与・養育費の不払いへの対応がしやすくなる
  • 不倫・DVなどの証拠が豊富であれば、慰謝料の増額も期待できる

裁判のデメリット

  • 費用が高い(弁護士費用・印紙代などを合わせると数十万〜百万円超になることも)
  • 解決まで1〜3年かかることもある
  • 離婚の理由となる「法定離婚原因」が必要であり、単に性格が合わないだけでは認められにくい
  • 有責配偶者(不倫をした側)からの離婚請求は、原則として裁判所に認められない

 
実務の実態:裁判を起こしても、途中で和解が成立するケースが多くあります。
裁判官が和解勧告を行い、双方が合意して「和解離婚」となることも珍しくありません。
裁判=最後まで争い続けるというわけではなく、裁判を通じて現実的な条件での解決が図られることも多いです。
 

④ 協議・調停・裁判それぞれにおける弁護士の役割

「弁護士は裁判のときだけ必要」というイメージを持っている方が多いのですが、実際には協議・調停の段階から弁護士に依頼することで、解決の内容・スピード・精神的な負担がまったく変わってきます。各段階での弁護士の役割を整理します。
 

協議段階での弁護士の役割

協議離婚は当事者同士の話し合いで進めることができますが、弁護士が代理人として介入することで、法的に有効な合意の形成と適正な条件の交渉が可能になります。相手が一方的に不利な条件を提示してきた場合でも、弁護士が法的根拠に基づいて反論することができます。また、離婚協議書・公正証書の作成についても弁護士がサポートします。
 

調停段階での弁護士の役割

調停に弁護士を同席させることで、調停委員への主張を法的に整理して伝えることができます。調停委員は中立の立場ですが、主張の整理が不十分な当事者の発言は十分に評価されないことがあります。弁護士が代理人として参加することで、財産分与の計算・養育費の相場・親権の判断基準などを正確に主張し、有利な合意を引き出すことができます。
また、相手方が弁護士をつけてきた場合は、こちらも弁護士を立てることが不可欠です。法律の専門家が相手についている状況で、素人が一人で交渉するのは著しく不利です。
 

裁判段階での弁護士の役割

離婚裁判では、訴状の作成・証拠申請・法廷での主張・反論・和解交渉など、すべての手続きに高度な法律知識が必要です。裁判を弁護士なしで本人が行う(本人訴訟)ことは制度上可能ですが、相手方に弁護士がついている場合に適切な戦略で臨むことは現実的に難しく、弁護士への依頼が強く推奨されます。
 

⑤ 費用の目安——協議・調停・裁判の比較

弁護士費用は事務所ごとに異なりますが、一般的な目安は以下のとおりです。費用を抑えたい場合は法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助制度の利用も検討できます。
 

手続きの種類弁護士費用の目安(依頼した場合)
協議離婚のサポート着手金20〜40万円+報酬金(解決内容による)
調停着手金30〜50万円+報酬金(解決内容による)
裁判(訴訟)着手金40〜60万円+報酬金(解決内容による)
調停から裁判へ移行調停の着手金+追加着手金10〜30万円が一般的

法テラス(日本司法支援センター)について

収入・資産が一定基準以下の方は、弁護士費用を法テラスが立て替えてくれる「民事法律扶助制度」を利用できます。
立て替え分は月々少額ずつ返済する形になります(審査によって免除になるケースもあります)。
「弁護士費用が払えない」という理由で相談を諦める前に、まず法テラスへの問い合わせをお勧めします。
 

⑥ よくある質問

Q. 調停を申し立てると、相手に知られてしまいますか?

A. はい、調停を申し立てると、家庭裁判所から相手方(申立ての相手)に呼出状が届きます。調停を申し立てた事実は相手に伝わります。ただし、DVや精神的DVがある場合など特別な事情がある場合には、住所の非開示措置を取ることが可能です。弁護士に相談することで、相手に知られる前にできる準備についてアドバイスを受けられます。
 

Q. 調停が不成立になったら、必ず裁判をしなければなりませんか?

A. いいえ、調停が不成立になっても、裁判を提起するかどうかは任意です。調停が不成立に終わった後、再度当事者間で協議を続けることも、一定期間待ってから裁判を起こすことも可能です。「調停が不成立=すぐ裁判」というわけではありません。次のステップについては弁護士と相談して慎重に決めることをお勧めします。
 

Q. 相手が調停に出席しない場合はどうなりますか?

A. 相手が正当な理由なく調停に出席しない場合、家庭裁判所は調停を不成立とすることができます。また、裁判所が出席を命じる「審判」に移行する場合もあります。相手が調停を無視しているということは、話し合いでの解決が困難であることを意味するため、早期に裁判への移行を検討するケースが多くなります。
 

Q. 協議中に弁護士を立てると、相手との関係が悪化しませんか?

A. 弁護士を立てること自体が関係を悪化させるわけではありません。むしろ、当事者同士が直接感情的にやり取りするよりも、弁護士を通じた交渉の方が冷静に進みやすいケースが多くあります。特にDVやモラハラがある場合は、相手と直接交渉しないことが自身の安全と精神的な負担の軽減につながります。
 

まとめ

離婚の手続きは、協議→調停→裁判という段階を経て進みます。本記事の要点を振り返ります。

  • 日本の離婚は「協議→調停→裁判」の順に進む。調停を経ずにいきなり裁判は起こせない(調停前置主義)
  • 調停は費用が安く話し合いベースだが、相手が合意しなければ成立しない
  • 裁判は強制力があるが費用・時間がかかり、法定離婚原因が必要
  • 弁護士は協議・調停・裁判のどの段階でも、主張整理・書類作成・交渉代理として重要な役割を担う
  • 相手が弁護士をつけてきた場合は、こちらも弁護士を立てることが不可欠
  • 費用が心配な場合は法テラスの民事法律扶助制度の利用も検討できる

 
「調停を申し立てるべきか、それとも協議を続けるべきか迷っている」「相手が弁護士をつけてきて不安」——そうした状況でも、弁護士が今の状況に合った具体的な方針をご提案します。まずはお気軽にご相談ください。

著者

後藤千絵先生
弁護士

後藤ごとう 千絵ちえ

京都府生まれ。滋賀県立膳所高校、大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に総合職として入社。

30歳を過ぎてから法律の道を志し、2006年に旧司法試験に合格。

08年に弁護士登録し、2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所を設立。

離婚や相続など、家族の事案を最も得意とし、近年は「モラハラ」対策にも力を入れている。

著作に「誰も教えてくれなかった離婚しないための結婚の基本」(KADOKAWA)、『職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術』(三笠書房)がある。

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