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モラハラ離婚の現状と対策を離婚弁護士が解説

2024-10-16
離婚

目次

1. モラハラの特徴

離婚原因として、最近特に多いと感じるのが「パートナーからのモラルハラスメント(いわゆる『モラハラ』)です。

モラハラとは、「言葉や態度によって、巧妙に相手の人格を侵害し、萎縮させることで、相手を意のままに操ること」。

つまり簡単に言えば、パートナーが「精神的な嫌がらせ」を日常的にしてくると言った状態です。

日常的にモラハラを受けている側は、徐々に自信をなくしていきますし、自己肯定感が低くなり、メンタルをやられて確実に弱ってきます。

相手に逆らう気力もなくなり、思考停止のような状態になって、無条件に相手の言うことを聞いてしまうという、かなりまずい状態になってきます。

このように、モラハラを受けると、相手に精神的に支配・コントロールされてしまいます。

「精神的な支配・コントロール」がモラハラの共通項と言っていいでしょう。

最近は、女性側からのモラハラも増えてきましたが、一般的には男性から女性へのモラハラがまだまだ多いのが現実です。

では、結婚するとモラハラ夫になる男性の特徴は、具体的にどのようなものが挙げられるでしょうか?

私の経験上、主に下記のような特徴が挙げられます。

  1. 外面的には人当たりが良くて評判がよいが、自分より下とみなした者に対しては不条理にきつく当たったりする。
    例えば、飲食店の店員さんに偉そうな態度を取る等。
  2. 会話中に少しでも相手と違う意見を言うとムキになって反論してくる。
    「だから~」「あのさあ」「はぁ?」と言ったワードが返ってくる。
  3. 会話のキャッチボールが下手で終始自分の話をしている。
    もしくはいつの間にか、自分の話になっている。
  4. 話していると「俺の言ったとおりだろ?」「おまえが間違っているんだよ」「わかってないなあ」「俺の言う通りにしておけばいいんだよ」などと言って、マウントを取ってくる。
  5. 自分の家族の自慢をする反面、相手の家族のことは貶す。
  6. デートに遅刻しても言い訳ばかりして、素直に謝らない。
    基本的に自分は悪くないと思っている。
  7. 電話やメールが長い。
    返信が少しでも遅れると「おーい」「生きてますか―?」と言った粘着系の催促メールが来たり、返信が遅いことを一方的に責めるメールが来る。
  8. 挫折を知らないエリート人生を歩んでくるなど、とにかくプライドが高い。
  9. 相手を論破しないと気が済まない。
  10. 交際後、すぐに「さん」「ちゃん」が、呼び捨てや「おまえ」に変わった。

これらはモラハラの特徴の一部にすぎませんが、自分のパートナーには「すべて当てはまりました」と言う方もいらっしゃいます。

また、少しでも当てはまるところがあれば要注意です。

2. モラハラは事前に見抜く

離婚相談を受けていると、「恋人としてお付き合いをしている間は本当に優しかったのに、結婚したら突然モラハラ夫に変わったんです!」といった悩みに頻繁に遭遇します。

ですが、彼らは結婚後にモラハラ夫に豹変したのではなく、そもそもモラハラ気質があったことを隠していただけというケースが殆どなのです。

結婚した途端に豹変するケースもあれば、何年か経ってから徐々にモラハラ気質が出てきたというケースもあります。

依頼者の方の中には、結婚後20年以上も経ってから、それまで当たり前だと思って我慢していた相手の態度や言動がいわゆる「モラハラ」に該当するのではないかと相談に来られ、その結果、モラハラの特徴を見事なまでにすべて備えているとわかり、茫然としていた方もおられました。

自分はモラハラの被害者だったのだと、結婚後20年以上経って初めて自覚されるのです。

そのような方が共通して言われるのは、「もっと早く気づいていたら…」「もっと早く我慢することを止めていたら…」といった後悔の言葉です。

後悔しないためにも、できれば、モラハラは事前に見抜いていただきたいと思います。

先ほど挙げたモラハラの特徴に少しでも当てはまるところはないか、慎重に確認しましょう。

ポイントとしては、「自分より立場が弱い人に対する態度を注意してみること」です。

友人や知人には愛想よく振舞っていたとしても、飲食店の店員さんや宅配業者さんに高圧的な態度を取っていたり、ちょっとしたことでクレームを入れたりすることがあれば要注意です。

攻撃の先は、いずれパートナーに向けられる可能性があると肝に銘じてください。

3. モラハラを受ける原因

一方で、モラハラ被害を受けやすいタイプの方も実際におられます。

配偶者のみならず、仕事関係の上司や同僚、友人関係にもモラハラはあります。

共通して言えるのは、何かトラブルがあった際に「自分が悪いのではないか」と思う傾向にあるということです。

「自分は悪くない、悪いのは他人」と考える自己正当化タイプと比べると、謙虚で性格も良い方が多いのですが、それにつけこまれてしまうのです。

特に立場や年齢、経済状況と言った理由から上下関係や主従関係が生まれている場合にモラハラは起きやすいのですが、パートナーを尊敬していたり、もともと憧れていたりして、結婚した場合には、「パートナーを怒らせた自分が悪い」と思い込みやすくなります。

パートナーもそう思っていてくれた方が都合がいいので、あえてその思い込みを訂正しません。

また、日頃からパートナーに「お前が悪い!」「間違っているのはあなた」などと何かにつけて言われている場合には、自己肯定感が低くなり、自信をなくしてしまうこともよくあります。

そうなると相手に反論する気力もなくなり、相手の支配を受けていた方が楽だと考えて、モラハラを受け続けることになります。

4. 女性からのモラハラ

もちろん男性からだけでなく、女性からのモラハラも増えつつあります

相談者A男さん(30代、会社員)のケースをご紹介しましょう。

A男さんは、妻B美さんとは学生の頃からの付き合いで、交際10年目で結婚しました。

共通の知人も多く、A男さんは、B美さんのことはよく理解しているつもりでいました。

少しせっかちなところはあるけれど、世話好きで親切。

仕事もできて、年収もほぼA男さんと同程度。

子供が生まれる前は世帯年収1500万円を超え、週に3回は外食し、週末は旅行に行くなど優雅な生活を送ってきました。

その頃は夫婦仲も良く、友人からは羨ましがられる夫婦だったと言います。

歯車が狂いだしたのは、子供が生まれた後、B美さんが産後うつに罹ったこと。

B美さんにとっては、いわば初めての挫折であり、子育てを十分にできない自分を責めている様子でした。

A男さんはもともと家事や育児には積極的に参加したいと考えていたため、育児休暇を取得し、調子のすぐれないB美さんに代わって率先して育児をするようにしました。

後からわかったのですが、B美さんは張り切って育児をするA男さんを見るのが辛く、子供がA男さんに懐くのを目の当たりにしてますます自信をなくしてしまい、自暴自棄になることもあったそうです。

A男さんは育児の傍ら、買い物などの家事も負担していたのですが、徐々にB美さんの態度が横柄なものに変わっていったそうです。

「〇〇を買って来い」

「早く帰って子供のおむつ替えろ」

と言ったLINEが届くようになり、A男さんの育休が終わるとますます酷くなっていきました。

A男さんはB美さんの体調を気遣い、とりあえずB美さんの言うことは100%聞くことにしていたそうなのですが、なんとB美さんはA男さんに一言も相談することなく、勤めていた会社を辞めてしまいました。

そして、会社を辞めた原因をA男さんのせいにしてくるようになり、A男さんに対するLINEでの暴言も「殺すぞ」「死ね」と言ったものが多くなってきました。

耐えられなくなったA男さんは周囲に相談したのですが、「あのB美がそんなことを言うなんて信じられない」「B美もワンオペ育児で大変なのでしょう」「夫であるA男がきちんとフォローしてあげないと」と言ったアドバイスばかりで、A男さんは徐々に追いつめられていったそうです。

そのうちA男さんは自宅に帰るのが辛い「帰宅恐怖症」のような症状になり、両親の勧めもあって、ひとまず実家に帰ることにしました。

当事務所には、ご両親に連れられて相談に来られたのですが、当初は酷く憔悴しておられ、まともに話もできないような状態でした。

その後、離婚全般についてご依頼をされたのですが、結果的に離婚調停で話がまとまらず、離婚訴訟にまでもつれ込みました。

B美さんは最後まで離婚をしたくないと争っていたのですが、LINEでの暴言が証拠として認められ、慰謝料も100万円程度支払ってもらう条件で和解離婚が成立しました。

最後にA男さんと話をしましたが、ホッとした表情で、「モラハラを受けていたという自覚はなかったのですが、今から考えると完全なモラハラですね…。

当時は全く気付きませんでした。

自分の力が足りないとばかり思っていました」「子供のことだけが心残りですが、精一杯フォローするつもりです」とおっしゃっていました。

5. モラハラ離婚について

モラハラでの離婚は、離婚原因としては夫婦共に上位であり、性格の不一致を除くと実質一番多く、これからも増えて行くことが予想されます。

結婚において、もっとも警戒すべきは、モラハラ気質のパートナーだと言っても過言ではありません。

モラハラをする人の言いなりになって、貴重な人生の時間を無駄にするのは、絶対に避けた方がいいに決まっています。

そのためには交際中に感じた違和感を見逃さないようにしてください。

少なくともここで挙げたチェックポイントや特徴を確認し、一つでも当てはまったら、軽く考えずに一度立ち止まって冷静に相手を観察してみてください。

その際に、自分の「感覚」を大事にすることがとても重要です。

周囲が、あいつはモラハラだよ、とアドバイスしてくれることは期待できません。

「もしかしてモラっぽいな」と感じていたものの、幸せそうな友人を見て、その時は言えなかったと離婚した後に親友に言われたと言う人もいます。

またモラハラ加害者は外面がいいのも特徴の一つですから、周囲の評判は上々なケースもよくあります。

6. まとめ

モラハラの相談を受ける際に、本当によく耳にするキーワードが「いまから思えば」です。

「おかしいな?」と直感的に思ったことが一度や二度はあったらしいのですが、気のせいだとして見逃してきたというのです。

自分の本能は事前に危険を教えてくれていたのに、実にもったいない話です。

世間体やスペックにこだわっていると、なかなか事前にモラハラを見抜くことが難しくなります。

直感や第一印象を信じて、おかしいと思ったことは絶対に見過ごさないことが、モラハラ離婚を避けるポイントだと言えます。

少し注意して観察しているだけで、今までわからなかった相手の本質が見えてくることも大いにあります。

モラハラ傾向のある相手と離婚するのは、相手が離婚したくないとごねたりするなど、実際にかなり大変です。

離婚は結婚の10倍ものエネルギーがかかると言いますが、実際にモラハラ離婚の場合は30倍くらい大変だと言っても言い過ぎではないでしょう。

パートナーにモラハラの傾向があり、暴言を受けるなどして苦しめられている方は、自分ひとりで悩むのではなく、弁護士等の専門家に早めに相談することをお勧めします。

離婚を専門に扱う弁護士ならば、モラハラの相手の特徴や傾向は嫌というほど知っています。

早めの対策が功を奏することはよくあります。

最近はどこの法律事務所も「無料相談」を行っていますので、無料相談を利用して、一度相談してみてはいかがでしょうか。

パートナーが「モラハラ」だとわかっただけで気が軽くなったという方もたくさんいらっしゃいます。

当事務所でも、「モラハラ」に関しては多くの相談にのっていますし、無料相談も常時実施していますので、一度ご相談にいらしてください。

著者

後藤千絵先生
弁護士

後藤ごとう 千絵ちえ

京都府生まれ。滋賀県立膳所高校、大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に総合職として入社。

30歳を過ぎてから法律の道を志し、2006年に旧司法試験に合格。

08年に弁護士登録し、2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所を設立。

離婚や相続など、家族の事案を最も得意とし、近年は「モラハラ」対策にも力を入れている。

著作に「誰も教えてくれなかった離婚しないための結婚の基本」(KADOKAWA)、『職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術』(三笠書房)がある。

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