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不貞慰謝料の額が増える要素について

2020-06-25
離婚

配偶者に不貞行為をされたとき、悔しさや怒りの気持ちからできるだけ慰謝料を多く取ってやりたいと思う人もいるでしょう。
慰謝料は、浮気や不倫をされた配偶者の精神的な苦痛に対して支払われるお金です。
不貞慰謝料には一定の目安額がありますが、相手への怒りの感情が強ければ強いほど、高額な額を請求したくなるのは当たりまえです。
しかし、「どうしたら高額な慰謝料が取れるのか」といったポイントが分からない方も多いでしょう。
そこで今回は、不貞慰謝料の額が増える要素についてご紹介します。
自分の状況と要素を照らし合わせて、請求額の参考にしてみてください。

 

不貞慰謝料の目安

浮気や不倫による不貞行為の慰謝料額に、決まりはありません。
法律で規定されているわけではないため、個々のケースを加味して裁判所が判断するか、話し合いで両者が納得する金額に定めます。
一般的に不貞慰謝料の目安は、100万円~300万円とされています。
金額は浮気や不倫を原因として離婚する場合と、婚姻を継続する場合とで異なるのが特徴です。
傾向として、別居や離婚を伴う場合には慰謝料も高額となりますが、婚姻を継続する場合には100万円以下で納まることがあります。

 

不貞慰謝料の額が増える要素

慰謝料の額を増やせるかどうかは、個々の事情によります。
子どもの有無や浮気した回数など諸々の条件を総合的に判断して、不貞慰謝料の額は決まります。
 

・結婚期間の長さや内容

何年間、結婚生活を続けてきたかは、不貞慰謝料の額を考慮する要素の一つです。
夫婦には協力し助け合って生活していく義務があり、結婚期間の長さや内容によって慰謝料の支払い額も変化します。
結婚生活が長い家庭ほど慰謝料は高額となるケースが多く、逆に1年や2年と短期間であれば、それほど多くの額は期待できないでしょう。
 

・支払い側の社会的地位と資力

不貞行為を働いた側に社会的地位があり、十分な資産を持っている場合には、慰謝料も高くなる可能性があります。
財産が豊富にある人にとって一般的な慰謝料額では、罰としての役割が小さいと判断されるためです。
大企業の社長や令嬢、莫大な資産の継承者などが浮気や不倫をしたのであれば、慰謝料を増額できる余地があるでしょう。
 

・夫(妻)が浮気をそそのかした側である場合

浮気をもちかけたのが、配偶者である夫(妻)であるというケースです。
たとえば、夫(妻)が会社の重役であり、不倫相手が自分の部下だったとします。
部下は上司より立場が低く、平穏な社会生活を送っていくためには、理不尽な上司の要求に応えざるを得ないこともあるでしょう。
部下が断わりにくい状況であるのをいいことに、不貞行為の原因をつくりだした張本人が夫(妻)である場合、慰謝料を増額できる可能性があります。
 

・家庭を破綻させる意図があったとき

不貞行為によって、家庭を破綻させる気持ち相手にあった場合です。
夫(妻)が浮気相手と一緒になりたくて、積極的に暴言を吐いたり、家事に一切参加しようとしなかったりしたときなどが該当します。
第三者である浮気相手が、「配偶者と別れさせよう」と計画を立てたり、浮気がバレた後も肉体関係を続けていたりした場合も含みます。
さらに子どもができたといった状況であれば、浮気をされた配偶者の精神的苦痛は大きくなるため、慰謝料を増額する要素になりえるでしょう。
 

・不貞行為の回数

不貞行為を何度もしている場合、高額な慰謝料を請求できる可能性があります。
一度だけでも許せないにもかかわらず、繰り返し浮気相手と会っている行為からは誠実さが感じられません。
夫婦の義務を全うしようとしない相手の姿勢は、慰謝料を上乗せする理由になるでしょう。
浮気相手と同居している事実があれば、さらなる増額も見込めます。
 

・嘘や約束違反

一度目の不貞行為により、「もう二度と浮気はしない」「浮気相手と会わない」と約束を交わしたものの、ルールを破ってまた不貞行為をしたケースです。
接近禁止などの約束を違反してまで、不貞行為を繰り返す行為は悪質であり、反省の余地がないと思われます。
こっそり浮気相手と密会していたにもかかわらず、「会っていない」と嘘をついた場合も、高額な慰謝料を請求できると言えるでしょう。

 

不貞慰謝料を高額にするための行動

不貞慰謝料を増やす要素にはいくつかありますが、より高額の慰謝料を請求したいのであれば、「多くの証拠を集める」「不貞行為に強い弁護士に相談する」の2点を行動にプラスするといいでしょう。
 

・多くの証拠を集める

裁判では証拠が何よりものを言うため、不貞行為を裏付ける証拠を多く持っていると有利に運べます。
慰謝料を増やす要素には浮気の回数や期間も含まれるため、長期間に渡って、多くの種類の証拠を集めれば、金額の増加が見込めます。
スマホで撮影した動画や音声、手書きのメモ、明細やレシートなどを集めておきましょう。
違法で集めた証拠でなければ、ささいなものでも裁判や交渉で証拠になる可能性があるので、捨てずに保管しておくことが大切です。
 

・不貞行為に強い弁護士に相談する

法律による争いは素人には難しいため、不貞行為に強い弁護士に相談するのもいいでしょう。
浮気や不倫分野に精通した弁護士であれば、数多くの判例を知っており、具体的な解決策を示してくれます。
感情的になっているときや慰謝料以外の要求があるときにも、弁護士への依頼を検討してみてください。
 

不貞慰謝料の額が増える要素には、夫婦生活の期間や相手方の考えなどがあります。
慰謝料は傷ついた心への償いとして支払われるお金であり、精神的苦痛が大きいと裁判や交渉で訴えることができれば、金額も増額されるでしょう。
必要があれば弁護士も頼りに具体的な証拠を集めて、慰謝料請求の準備を進めていってください。

著者

後藤千絵先生
弁護士

後藤ごとう 千絵ちえ

京都府生まれ。滋賀県立膳所高校、大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に総合職として入社。

30歳を過ぎてから法律の道を志し、2006年に旧司法試験に合格。

08年に弁護士登録し、2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所を設立。

離婚や相続など、家族の事案を最も得意とし、近年は「モラハラ」対策にも力を入れている。

著作に「誰も教えてくれなかった離婚しないための結婚の基本」(KADOKAWA)、『職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術』(三笠書房)がある。

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