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審判離婚と裁判離婚の違い

2019-12-12
離婚

離婚調停がまとまらなかった場合、審判離婚・裁判離婚といった方法で、離婚を目指すことになります。ここでは、審判離婚と裁判離婚の違いについて解説します。

審判離婚

調停で離婚が成立しなかった場合でも、当事者の事情によっては「離婚が相当」として家庭裁判所が職権で離婚を認めるジャッジ(審判)を下すことがあります。
これが審判離婚といわれるものです。
実際に審判離婚が行われるケースとしては次のようなものがあります。

・当事者が離婚について合意しているものの離婚条件をめぐってわずかな対立がある場合

・当事者の一方が嫌がらせ目的で調停に来なかったせいで、調停がまとまらなかった場合

審判離婚の審判結果は確定判決と同じ効力を持つため、当事者に異議がなければそのまま離婚が成立します。
審判離婚のメリットは、手続きが簡便で、しかも非公開であることです。離婚の申し立てに必要な費用を抑えつつ、しかも夫婦のプライバシーを守りながら手続きを終えることができます。
ただし、審判離婚には重大なデメリットがあります。それは、2週間以内に一方の当事者が異議を申し立てると、離婚審判が無効になってしまうことです。
そのため、実務上、審判離婚で離婚するケースはそこまで多くありません。実際には、調停が不成立となった時点で、後述の離婚訴訟を検討するカップルが大半となっています。

裁判離婚

調停などの話し合いで離婚の合意ができなかったとき、それでも「離婚したい」という当事者は、離婚訴訟を起こす必要があります。
裁判に勝訴し、「当事者を離婚させる」という判決を得られれば、たとえ一方の当事者の合意がなくても離婚を成立させることができます(判決離婚)。
また、和解離婚といって、裁判の途中で当事者同士が話し合って合意できれば、裁判上の和解で離婚を成立させることも可能です。
ただし、裁判離婚には注意点もあります。それは、離婚訴訟を起こすための条件が法律で厳格に定められているということです。
次に紹介する離婚原因のうち、少なくともいずれか1つにあてはまらなければ離婚訴訟はできません。

・配偶者の不貞行為
・配偶者に悪意で遺棄されたとき
・配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
・配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
・その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき(DV、モラハラなど)

さらに、実際の裁判では、これらの離婚原因があることを、きちんとした証拠を示して主張する必要があります。

離婚に関する手続きの相談は弁護士に

もし離婚を検討しているのであれば、早めに弁護士にご相談ください。
当事者間の話し合いで円満に離婚できなかった場合、離婚の手続きの場は家庭裁判所に移ることになります。そうなれば法的な知識が求められる場面も増えてくるため、当事者が1人で離婚に必要な手続きや交渉事を行うのは難しくなります。
円滑に離婚の手続きを進めるためにも、法律のプロの助けを借りることをおすすめします。

著者

後藤千絵先生
弁護士

後藤ごとう 千絵ちえ

京都府生まれ。滋賀県立膳所高校、大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に総合職として入社。

30歳を過ぎてから法律の道を志し、2006年に旧司法試験に合格。

08年に弁護士登録し、2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所を設立。

離婚や相続など、家族の事案を最も得意とし、近年は「モラハラ」対策にも力を入れている。

著作に「誰も教えてくれなかった離婚しないための結婚の基本」(KADOKAWA)、『職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術』(三笠書房)がある。

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