はじめに
当事務所に寄せられたご質問にお答えいたします。
夫が浮気をしていることがわかりました。少し前から帰宅が遅くなり、家にいてもコソコソしていて落ち着きがなさそうだったので、夫のスマートフォンを盗み見たところ、知らない女と親密な関係をうかがわせるメッセージを見つけました。まだ子どもが小さいので離婚は考えていませんが、相手の女に対し慰謝料を請求したいです。メッセージのやりとりをスクショしたので、証拠はあります。慰謝料を請求できますか?
浮気や不倫は法律上、「不貞行為」といいます。「配偶者の不貞行為が見つかり、慰謝料を請求したい」というご相談は当事務所にも多く寄せられますが、決定的な証拠がないために、慰謝料を請求できないケースもあります。では、どのような証拠なら有利に慰謝料を請求できるでしょうか。
メッセージのやり取りでは証拠として弱い
今回ご質問をいただいた方が、どのようなメッセージのやりとりを見つけたのか、質問の内容からは判断できかねますが、一般的にメッセージのやりとりだけでは不貞行為の証拠にはなりません。
「またホテルに行こうね」というような、ホテルで会う約束や、すでにホテルに行ったことをうかがわせるメッセージが残っていたとしても、それが不貞行為があったとされる直接的な証拠にはならないのです。
では「手をつないでいる」または「キスをしている」現場を目撃した場合はどうなるでしょうか。手をつなぐのもキスをするのも、恋愛感情を持つ相手としかしないのが通常ですが、残念ながら慰謝料を請求するための有利な証拠にはなりません。あくまで性交渉したことがわかるような証拠でなければ、慰謝料の請求は難しいのです。
「ホテルの出入りがわかるもの」を用意しよう
不貞行為で慰謝料を請求するなら、不倫相手と性交渉があったと推認できる証拠が必要です。そのため、配偶者と不倫相手がホテルに出入りしているところの写真や動画が最も有力な証拠となります。
次にご紹介する方法で有利な証拠を確保しましょう。
①自ら2人を追跡する
不貞行為がある日を予測し、二人が待ち合わせからホテルに出入りしているところ追跡して証拠を確保する方法です。行動力があり、自ら証拠を確保できる手っ取り早い方法ではありますが、普段乗っている自家用車で追跡したり、後ろを振り向かれたりして尾行がバレる可能性もあります。また、実際の現場を目の当たりにし、「本当に浮気していた…」と精神的にショックを受けるリスクも覚悟しなければなりません。
②知人に尾行してもらう
配偶者や不倫相手が顔見知りでない人なら尾行がバレる心配はありません。ただ、不倫というナーバスな悩み事を、たとえ親しい間柄とはいえ打ち明けるのには勇気がいるものです。それに、他者へ漏えいする可能性もゼロではありません。
③探偵に依頼し、尾行してもらう
お金はかかりますが、探偵に尾行を依頼し、ホテルに出入りしている現場を押さえてもらいます。プロの探偵が尾行でバレることはありませんし、決定的な証拠を押さえるまで粘り強く尾行してくれます。また、守秘義務があるので他者への漏洩の心配がありません。
まとめ
慰謝料請求をする上で有利となる証拠かどうか、判断が難しい時は、離婚に詳しい弁護士にご相談ください。離婚の予定がない方でも、不倫の慰謝料請求についてのご相談に対応しています。