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離婚後に「本当は浮気していた」と発覚!慰謝料は請求可能?

2019-04-13
離婚

離婚が成立してしばらくたってから「元夫(妻)が実は浮気をしていた」という事実が発覚したとしたら…。離婚時には知らなかったわけですから、損害賠償や慰謝料も請求していませんよね。では、離婚が成立して浮気が発覚した場合、あとからでも慰謝料などを請求できるのでしょうか。ここでは「離婚成立後の浮気発覚と慰謝料」について解説します。

離婚が成立後でも浮気に対する慰謝料請求はできる?

結論からいうと「慰謝料を請求できる可能性がある」となります。なぜ「可能性」という言葉を使うかといえば、離婚時には、あとから問題が出ないように一定の決まり事を設けるのが通常だからです。特に金銭面では、「清算条項」という項目で「お互いに慰謝料の請求や財産分与の請求をしない」といった事柄を決定します。この清算条項があれば、原則として、離婚後に慰謝料や財産分与の請求はできないと考えてください。では、離婚後に浮気が発覚したケースで、慰謝料の請求が可能なのはどういった場合なのでしょうか。

離婚後に浮気が発覚して慰謝料請求できるケース

あくまでもケースバイケースですが、以下のような場合には、離婚後に発覚した浮気について慰謝料を請求できる可能性があります。

○慰謝料請求の時効が成立していないケース
離婚後の慰謝料請求は、一般的には「離婚成立から3年」で成立します。これは民法第724条で決められている事柄です。

“第724条 (不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。”

ただし、「結婚中は浮気の事実を知らなかった」場合には、「離婚後に浮気の事実を知った日」から時効の計算が始まることに注目してください。「浮気の事実を知った日」を証明するのは難しいですが、単に離婚から4年が経過しているから慰謝料は請求できない…と考えるのは早計です。離婚に強い弁護士に相談し、まずは時効が到来しているのか否か、相談してみましょう。

○離婚時の書類に「清算条項」がないケース
前段で解説した通り、「離婚後にお互いお金の請求をしない」という旨を記載した「清算条項」は、離婚後の慰謝料請求で大きな障害になります。つまり、清算条項が無ければ、離婚後に発覚した浮気に対する慰謝料請求は、ぐっとスムーズに運ぶ可能性が高いのです。

○あとから「本当の離婚の原因が浮気だった」と証明できるケース
離婚時には浮気の事実を知らないわけですから、その他の理由が離婚原因となっているでしょう。しかし、その離婚原因と配偶者の浮気の間に何らかの因果関係が認められれば、慰謝料請求が可能になることもあります。例えば単に「性格の不一致」だと思っていたものが、実は配偶者の浮気による心変わりだった、というケースです。ただし、これを証明するのは非常にハードルが高いため、弁護士からのサポートが不可欠といえるでしょう。

○清算条項があっても請求できるケース
たとえ離婚時の書類に清算条項があっても、離婚時の前提(お互いの認識)が全く違っているとして、慰謝料請求にこぎつけられる場合があります。また、元夫(妻)には請求できなくても、その浮気相手に対しては慰謝料の請求が可能な場合が多いです。

慰謝料請求までのハードルが高い「離婚後の浮気発覚問題」

このように、離婚後に発覚した浮気については、「清算条項」「時効」「浮気相手との交渉」などが慰謝料請求のポイントになります。また、浮気が離婚に影響していることを証明する必要があるかもしれません。いずれにしても、単独で慰謝料請求までこぎつけるのは難しいといえます。離婚後に発覚した浮気は、「知らなかった」「騙された」と悔しい思いを抱えている方が大勢います。しかし、これまで解説したように、しっかりと対策を講じれば、慰謝料の請求は可能なのです。単独で抱え込まず、まずは事実関係の整理や慰謝料請求の可能性も含めて、弁護士に相談をしてみてください。

著者

後藤千絵先生
弁護士

後藤ごとう 千絵ちえ

京都府生まれ。滋賀県立膳所高校、大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に総合職として入社。

30歳を過ぎてから法律の道を志し、2006年に旧司法試験に合格。

08年に弁護士登録し、2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所を設立。

離婚や相続など、家族の事案を最も得意とし、近年は「モラハラ」対策にも力を入れている。

著作に「誰も教えてくれなかった離婚しないための結婚の基本」(KADOKAWA)、『職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術』(三笠書房)がある。

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