離婚で姓を戻す必要があるのか?といった不安を抱く方は珍しくありません。特に女性側にとっては、非常に大きな問題です。離婚というプライベートな問題が、周囲に知られてしまうきっかけになるからです。そこで、「旧姓に戻す必要があるか」という疑問とともに、離婚後の氏(姓・名字)についてのルールを解説します。

離婚後は旧姓に戻さなくてはダメ?

結論から言うと、無理に旧姓に戻す必要はありません。離婚後は、結婚時に名乗っていた姓か旧姓かを選べるわけです。具体的には、以下のような選択肢があります。

婚姻時に夫側の姓を名乗っていて、離婚後は旧姓に戻すとき

簡単にいうと、離婚後に旧姓に戻すパターンですね。これを専門的な言葉で「復氏」と言います。日本では、特に手続きをしない場合は、原則として復氏が選択されます。つまり、旧姓に戻るわけです。

婚姻時に夫側の姓を名乗っていて、離婚後も引き続き同じ姓を使うとき

こちらは「夫側の姓をそのまま名乗る=旧姓に戻さない」場合です。上で述べたように、日本では離婚=復氏(旧姓に戻る)が原則ですから、旧姓に戻したくない場合は別途手続きが必要です。少し難しい言葉で説明すると「婚氏続称制度の利用」をするわけです。婚氏続称制度では、以下のような手続きを行います。

・本籍地もしくは届出人が住んでいる市町村の役所に「離婚のときに称していた氏を称する旨の届(婚氏続称届)」を提出
・起源は離婚した日から3か月以内

3ヶ月という期限があるため、旧姓に戻したくない場合は忘れずに手続きを行いましょう。ちなみに、もし手続きを行わず、離婚から3ヶ月が経過したあとに復氏を回避する場合には、家庭裁判所に「氏の変更許可の申立て」を行わなくてはなりません。これは、戸籍法107条1項を考慮する必要があります。

“戸籍法 第107条
やむを得ない事由によつて氏を変更しようとするときは、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。”

この条文にあるように「やむを得ない事由」を証明しなくてはならないわけです。具体的には、旧姓に戻ったことにより、仕事や生活で何らかの不利益を被っていることを証明する必要があります。通常の婚氏続称届よりも手続きが難しくなるため、必要に応じて弁護士に相談するようにしましょう。

子どもの姓はどうなる?

では、離婚によって子供の姓はどうなるのでしょうか。原則として、子供の姓は離婚の影響をうけず、「結婚していたときのまま」です。つまり、妻側の旧姓には戻らないわけですね。これを妻側の旧姓に戻すためには、家庭裁判所に対し「子の氏の変更許可の申立て」を行い、新しい戸籍を作る必要があります。一気に手続きが複雑になりますので、子どもの姓を変更したい場合は、弁護士に相談するのが無難でしょう。