子供がいる夫婦の離婚で問題になりがちな養育費は、子供を健全に育てるための大切なお金です。しかし、実際には養育費の不払いや未払いが少なくありません。つまり、確実に支払ってもらえるとは限らないのです。また、養育費の金額の大小が、それぞれの生活に重くのしかかることもあります。そこで、養育費を増やしたい場合、減らしたい場合の対処法をそれぞれご紹介します。

養育費の基礎知識

養育費とは、未成年の子供が成長する過程で必要になる生活費や医療費、教育費などが該当します。これは民法706条「婚姻分担費用」、752条「夫婦間の扶助義務」、766条1項「子の監護費用」が根拠となっています。

“第760条 (婚姻費用の分担)
夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。

第752条 (同居、協力及び扶助の義務)
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

第766条 (離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。”

夫婦が離婚しても、子どもの成長や教育にかかる費用は負担しなくてはならない、ということです。

養育費の決め方と相場は?

養育費は、一般的に以下のような事柄を考慮して決定します。

○養育費を支払う人の年収(収入)…年収が高いほど養育費の金額も高くなる傾向にあります。
○親権者(養育費を受け取る側)の年収…年収が低いほど、請求できる養育費が高くなる傾向にあります。
○子供の年齢…小学生、中学生、高校生と、子どもの成長にしたがって養育費が増えていきます。
○子供の人数…当然ですが、子どもの人数が多いほど、養育費が高くなります。

具体的な金額ですが、家庭裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」を基準にすることが多いです。

この算定表を見ると、養育費を支払う側(義務者=縦軸)の年収、養育費を受け取る側(権利者=横実)の年収、子どもの人数、年齢、給与所得者か自営業者かなどで養育費が変動することがわかります。以下は、算定表を基にした養育費の例です。

・養育費月額6~8万円…支払い義務者の年収650万円、子供ひとり(15歳から19歳)、権利者の年収250万円
・養育費月額8~10万円…支払い義務者の年収650万円、子供ふたり(15歳から19歳ひとり、14歳未満ひとり)、権利者の年収250万円

ただし、最終的にはそれぞれの事情を考慮して決定されるため、あくまでも目安として考えてください。

参考:養育費算定表 http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf

養育費を増やしたり減らしたりできる?

一度決定した養育費は、一定の条件を満たさなければ変更できません。これは増額、減額どちらにも言えます。具体的には「事情変更の要件」を満たす必要があり、以下のようなものが事情変更として認められます。

○養育費を増やしたいときの事情変更として認められるケース
・離婚した相手(支払い義務者)が経済的に成功し、所得が大幅に上がったとき
・子どもが難病などで、高額な医療費が必要となったとき
・権利者(養育費を受け取る側)が失業し、所得が著しく減少もしくはゼロになったとき

○養育費を減らしたいときの事情変更として認められるケース
・離婚した相手(養育費を受け取る側)が再婚し、子どもを再婚相手の養子にしたとき
・義務者(養育費を支払う側)がリストラなどで職を失い、再就職の見込みがないとき
・病気などの理由で給料や所得が大幅に減少しているとき

ただし、離婚時に想定できた範囲の変化であれば、養育費の変更が認められないこともあります。また、養育費について父母の間で協議し、それでも結論が出ない場合は、家庭裁判所に調停や審判を申し立てて決定することになるでしょう。

養育費変更の相談は専門家へ

このように、養育費の変更(増減)は、離婚した後でも可能です。ただし、一定の条件を満たし、なおかつ離婚した者同士の話し合いと合意が必要になります。また、場合によっては調停や訴訟といった法的な手続きに頼らざるを得ない可能性もあるわけです。口約束や当事者同士の話し合いだけではなく、ぜひ離婚に強い弁護士のサポートを受けながら、解決の道を探ってみてはいかがでしょうか。